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ウマニティプロ予想家・霧が、今週の重賞出走馬の中から、特に的中への鍵を握りそうな1頭にフォーカス。指数・血統・調教を中心とした”予想的イマジネーション”で掘り下げていきます。
【マスクトディーヴァ】
前走のローズSでは7番人気という低評価を覆して勝利。1分43秒0という大レコードを記録し、ラヴェルやソーダズリングらオークス組と、ブレイディヴェーグら新興勢力をまとめて撃破してみせた。
となれば、次なる標的は世代の絶対女王として君臨するリバティアイランド。世代どころか国内最強の座を争うだけの位置にいる同期を相手に、本馬はどこまでやり合えるだろうか。いつも通りに各要素から掘り下げていきたい。
まず指数面だが、デビューから一貫して優秀な数字を刻み続けているのが印象的。
唯一の敗戦である3走前の忘れな草も高指数のレースで、1勝クラスを勝ち上がった時の指数も水準以上。ローズSで低人気に甘んじていたのが信じられないほどだ。
そのローズSで刻んだ指数も同レースとしては過去最高レベルに高い数字で、単純に本馬の基礎能力がかなり高い可能性を示唆している。ローズSまで裏街道を歩んでいた分地味な印象を受けるが、王道を歩んでいたらもっと人気の上がる馬だったのではないだろうか。
そこに加えて見逃せないのが鞍上の感触で、ここ2戦で騎乗した岩田望来騎手は、そのいずれもで「抜け出して遊ぶ」「まだ余裕がある」といったコメントを残している。この通りに、これだけの高指数を記録しながら更に奥があるとすれば、リバティアイランド相手でも好勝負に持ち込めるかもしれない。
血統的には父がルーラーシップ、母父がディープインパクトという構成で、これは菊花賞馬キセキ&マーメイドS馬ビッグリボン兄妹や、先日の小倉記念を制したエヒト、福島でのマクりが印象的だったアンティシペイトらと同じ。芝の中長距離において高い能力と豊富なスタミナを示す一方で、レースぶりがやや大味になる馬が多い印象がある。
本馬もここまでの走りを見ていると、機動力を生かしてレース運びの上手さで勝っているというよりは、力任せに外から脚を伸ばして、最後までその破壊力が衰えないという感じ。この血統らしい豪快さをしっかりと備えている。
その一方で器用さが問われるような舞台への適応力には欠けそうだが、実際に敗れた忘れな草賞はキャリアの中で唯一小回りに区分される阪神内回りコース。圧倒的内有利な馬場傾向の中、4角で大きく外を回る格好になって詰めきれず、というレースぶりだった。
この点を踏まえると、阪神外回りコースでのびのび走れた前走から、小回りの京都内回りコースに転じるのは少々不安。枠順や展開、鞍上の助け等が必要になるだろう。勝負所までにロスなく前を射程に入れられるかが鍵となる。
また、大レコードで走った後だけに状態面も結果を大きく左右するが、本馬に関してもっとも読みにくいのがこの体調や調子といった部分。何しろ調教内容がいつも地味極まりないのだ。前走時も2走前も追い切りの数字だけ見るともう一追い欲しそうな内容で、分かりやすく調教で時計を出してくる馬と比べると印象は良くない。この辺りがローズSにおける低人気に繋がった可能性もあるだろう。
この中間もこの馬らしいゆったりとした調教に終始しているが、前進気勢はあり、体調自体は悪くなさそう。時計的にもいつも通りという感じで、素直に見れば力を出せる状態にあると言えるが、同時に前走の反動があったとしても分かりにくい内容。この辺りはどうしても走ってみないと分からない部分なので、最終追い切りや直前の状態まで見て違和感があるかどうか確認するのが賢明かもしれない。そこで明確に”おかしい”と思える部分がなければこれまでと同等の走りをしてくる可能性は高そうで、今年のメンバーならば馬券圏内は十分に視野に入るだろう。
相手となるリバティアイランドは相変わらず追い切りからして”ヤバい”内容で走っており、牝馬三冠に向けて抜かりなしと思える。
調教駆けしない本馬とは対照的な存在だが、本馬も馬名の由来が”仮面の歌姫”であるように、レースで最大限の能力を発揮するために、調教では仮面を被って密かに牙を研いでいる印象も。初対戦となるここで番狂わせがあるのかどうか、期待を持って見守りたい。
○霧(きり)プロフィール
ウマニティ公認プロ予想家。レース研究で培った独自の血統イメージに加え、レース戦績や指数等から各馬の力関係・適性を割り出す”予想界のファンタジスタ”。2023年1月には、長年の活躍が認められ殿堂プロ入りを果たす。
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