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菊花賞(23日、京都、GI、芝3000メートル)の枠順が20日午後、確定した。史上7頭目の3冠がかかるオルフェーヴルは〔7〕枠(14)番に決定。内枠有利の傾向があるレースだけに、後押しとはならなかった。そこで浮上するのが、菊花賞史上最多の7勝をあげている(1)番枠を引き当てたトーセンラー(栗東・藤原英昭厩舎、牡3歳)だ。父は05年の3冠馬ディープインパクト。好枠を利して偉業を阻止する。菊花賞は21日午後2時から一部ウインズで金曜発売が実施される。
出走予定馬
3冠馬の遺伝子が、絶好枠を得た牡馬クラシック最終戦で爆発する。オルフェーヴルの3冠達成を阻止するのは、父に無敗の3冠馬ディープインパクトを持つトーセンラーだ。万全の臨戦態勢に加えて、内枠有利の傾向が顕著な菊花賞で最内の(1)番枠をゲット。逆転への布石が整った。
20日午後2時。発表された枠順を確認した藤原英昭厩舎の田代信行調教助手は、笑顔を浮かべた。「内が欲しいと思っていたので、いい枠ですね。ここならばロスなく行けます。スムーズに最初のコーナーを回ってくることができそうですから」。戴冠がグッと近づき意欲十分な口ぶりだ。
京都芝3000メートルは、3コーナー手前からの発走。スタートしてすぐに急な下りでコーナーへと入るため、外枠の馬は遠心力で勢いがつき過ぎるケースが多く、それがスタミナロスにつながる。道中で脚をためることができる内枠が有利。それは傾向にも表れている。
菊花賞(過去71回)は(1)番~(6)番が全て6勝以上に対して、(7)番から外で6勝以上はない。その中でも(1)番枠は最多の7勝をあげ、勝率でも唯一10%を超えてトップだ。
春のトーセンラーは運に恵まれなかった。皐月賞(7着)は東日本大震災の影響もあり調整にスムーズさを欠き、ダービー(11着)は不良馬場で力を発揮できず。蛯名正義騎手(42)=美浦・フリー=は「能力がありながら、結果を出せなかった」と悔しさを募らせた。
だが、ひと夏を越して「体がだいぶしっかりしてきた」と藤原英昭調教師(46)=栗東=は成長を実感。秋初戦のセントライト記念は2着も、「トライアルとしては悪くない内容だった」と藤原英師は納得の表情。19日に滋賀県栗東トレーニングセンターのCWコースで行われた最終追い切りも、集中した走り。体調は春とは雲泥の差だ。
さらに、今回は2戦2勝の京都外回りコース。2月のきさらぎ賞ではオルフェーヴル(3着)、ウインバリアシオン(4着)を実際に撃破している。「京都は合うし、三千の距離も大丈夫」と藤原英師が言えば、「オルフェーヴルを破った京都で楽しみが膨らむ」と蛯名。折り合いがつくタイプだけに、今回の舞台設定は最高といっていい。
「何とか3冠を阻止したい」。昨年のダービー馬エイシンフラッシュなどを育てた藤原英師だけに、その言葉は心強い。内でジッと脚をためて、直線で父ディープ譲りの豪脚を発揮して最後の1冠を奪う。
追い切り翌日の20日は厩舎周りの引き運動を行った。落ち着きがあり気配は上々。「ここまでは順調に調整することができた。この馬らしい雰囲気になってきたので、このままの状態でレースに行ければ」と、藤原英調教師は好調時のトーセンラーの姿が戻ってきたことに満足の様子だった。