今週から５週連続で東京でＧⅠ開催。第１弾は３歳マイル王を決めるＮＨＫマイルＣが行われる。未勝利戦から３連勝でニュージーランドＴを勝ち、一気に有力候補に名乗りを上げたエエヤンに注目が集まる。管理する美浦の伊藤大士調教師（５０）はＧⅠ初制覇のチャンス。その手応えと意気込みを直撃した。

－－前走で重賞初制覇

「スペースがあいたら、手綱を持っていかれたとミルコ（デムーロ騎手）は言っていました。あれで直線、ひと踏ん張りできたのはスタミナの証明でしょう」

－－１０キロ減は意図して絞った？


「いやいや、違う。本当は本番にとっておきたかった。馬が自分で体を作っちゃった」

－－３連勝で一気にブレーク。最大の長所は

「一番は走りに真面目なところ。肉体面で言うと全身バネ。前走の追い切りも馬の走りではないみたいだった」

－－今回は（３戦ぶりに）戸崎騎手と再コンビ

「知っている人が乗れるのは大きい。今回ミルコが乗れないのは分かっていたので、すぐに動いてすぐ返事をくれました」

－－エエヤンは馬名も特徴的

「オーナーさんはゴキゲンサンとかシランケドとか名前をつけておられますけど、たまたまこの世代の中で一番良かったのがこれだったということ。未勝利馬だったらこんなに騒いでいないでしょう（笑）」

－－中山芝１６００メートルで３連勝。東京は？


「東京のマイルは２０００メートルを走れるようなスタミナがなければだめ。そういった意味では１０ハロンの新馬戦から使ったくらいスタミナはあるし舞台に不安はないです」

－－（調教助手時代に所属した上原博厩舎の）ダイワメジャーはマイルも１０ハロンも強かった

「近くで見てきた感じメジャーとエエヤンはタイプが全然違う。エエヤンはこれまで見てきた馬のどれとも似ていない。だから引き出しがないんですよ、僕の中に」

－－勝てば開業１５年目で初のＧⅠ制覇

「チャンスをいただけてありがたいですけど、それほどプレッシャーはないですよ。（３戦目の）未勝利戦の方がよっぽど緊張して、勝ったあと泣きそうになったので。だから前回もＧⅡだけど、普通に１勝クラスを使う感覚で行けました」

－－ひいきのヤクルトスワローズで例えれば、エエヤンが村神様（村上選手）かもしれない

「そうなってくれたらね（笑）。自分は野球観戦が趣味だけど、野球の監督と調教師の仕事ってよく似ていると思うんです。成績が上がらずにめいっていたころは、それこそ野球に元気をもらっていました。今回も硬くなりすぎず頑張ります」

■伊藤　大士（いとう・だいし）　１９７２（昭和４７）年１１月２９日生まれ、５０歳。愛知県出身。１９９７年４月に美浦・森安弘昭厩舎で厩務員となり、同６月から上原博之厩舎の調教助手に。０９年に調教師免許を取得し、同年に開業。２０年ダイヤモンドＳ（ミライヘノツバサ）でＪＲＡ重賞初制覇。２日現在、ＪＲＡ通算３８８５戦１８１勝（うち重賞２勝）。趣味はプロ野球観戦で東京ヤクルトスワローズの大ファン。

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