３冠レース第１弾・皐月賞の追い切りが１５日、東西のトレセンで行われた。無敗でホープフルＳを制した昨年の最優秀２歳牡馬コントレイル（栗東・矢作芳人厩舎、牡３歳）は滋賀・栗東トレセンの坂路で時計を要する馬場をものともせずラスト１ハロン１２秒４（４ハロン５２秒９）。矢作調教師が「ひときわ光る動き」と絶賛する伸びで最高の調教評価『Ｓ』となった。勝負仕上げでクラシック１冠目をつかみ、世代最強を証明する。枠順はきょう決定する。

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　３冠ロードの始まりを、くっきりと視界にとらえた。無敗のＧＩ馬コントレイルの、研ぎ澄まされた馬体が坂路で躍動。矢作調教師は、納得の表情でうなずいた。

　「折り合い面や、反応も良かったですね。馬場が重くなっていましたが、ひときわ光る動きをしていたと思います」

　昨年の最優秀２歳牡馬は、朝一番の坂路に堂々と姿を現した。前半こそ控えめだったが、直線では持ち前のスピードを存分に発揮。小気味いいフットワークで、急勾配をギューンと駆け上がった。ラスト１ハロンは１２秒４（４ハロン５２秒９）。ゴールを目指して一心不乱に走る様子から、大一番を前に集中力も抜群だ。

　坂路は今週、ウッドチップが入れ替えられたばかり。まだ踏み固められておらず軟らかいため、先週より全体的に時計がかかっていた。その中、しまい重点で４ハロン５２秒９なら上々で、調教評価も最高の『Ｓ』となった。

　２走前の東スポ杯２歳Ｓは追い切り２本で臨み、「２週間で使って、あのパフォーマンス」とトレーナーも驚く急仕上げでの快勝だった。ホープフルＳも、速い追い切りは２本でＶ。今回は放牧先から帰厩後、３月１９日に坂路入りしてからじっくりと乗り込んでおり、「ぶっつけにしては、早くから調整している」という“勝負仕上げ”。２週前追い切りから３週連続となる速い時計こそ、順調さの証しだ。

　ホープフルＳからの直行は、昨年の勝ち馬サートゥルナーリアと同じとはいえ、異例のローテーション。この点にも「ホープフルＳで、コーナーが４つのコースや重たい馬場、折り合い面など課題をクリアしてくれた。なので“皐月賞、日本ダービーに照準を絞ろう”と。レース直後に決めました」とキッパリ。「走る方にすぐにスイッチが入る。休み明けは心配していません」と、自信をのぞかせた。

　同じく３戦３勝でＧＩを制した朝日杯ＦＳ勝ち馬サリオスと初の直接対決。競馬ファンも注目する一戦だが、指揮官は「そのほかにも強い馬がたくさんいますからね。１頭の馬について意識することはないです」と泰然自若の構えで臨む。

　この馬の強みについて「脚が速い、というところに尽きると思います。天性の素質、瞬発力」と、ＪＲＡ・ＧＩ１０勝のトレーナーが絶賛を惜しまない逸材。まずクラシック１冠目をつかんで、３歳世代最強を証明する。（山口大輝）

★チップ新調…先週水曜（８日）の栗東坂路一番時計は、レシステンシア（桜花賞に出走して２着）が武豊騎手を背に計時した４ハロン４９秒５。坂路のウッドチップを新調して迎えた１５日の一番時計は藤懸騎手が騎乗したフィアーノロマーノの同５１秒５で、前週より２秒も時計を要した。同５３秒を切った馬も先週の１１６頭に対し、わずか３４頭。コントレイルが騎手よりも体重が重い調教助手を背に、ゴール前で軽く仕掛けた程度で５３秒を切ったのは上々の内容といえる。

★皐月賞の特別登録馬（想定騎手入り）はこちら　調教タイムも掲載

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