第１２回アイビスサマーダッシュ（２２日、新潟１１Ｒ、ＧＩＩＩ、３歳上オープン国際（特指）、別定、芝・直１０００メートル、１着本賞金３８００万円　＝出走１８頭）安藤勝己騎乗、７番人気のパドトロワが好位からトップスピードに乗り、ラストもしっかりと末脚を伸ばして快勝。牡馬の勝利は２００４年カルストンライトオ以来８年ぶりで、念願の重賞初制覇を成し遂げた。１馬身１／２差の２着には２番手を進んだエーシンダックマンが入り、昨年の覇者エーシンヴァーゴウが３着。１番人気のビウイッチアスは１０着に敗れた。

　短距離界の頂点で好戦してきたスピードはダテではなかった。昨年のスプリンターズＳ２着馬パドトロワが初の“直千”で重賞初制覇。逃げるハクサンムーン、２番手のエーシンダックマンを３番手で射程圏に入れ、残り５０メートルから突き抜けた。

　「スタートはもともとうまい馬で思ったような位置が取れた。外枠（〔８〕枠（１６）番）も楽だったね。ばったりといく馬でないし、（直線）１０００メートルも合っていたのかな」

　コンビ６勝目を挙げた安藤勝己騎手がさわやかな汗をぬぐう。今年の重賞３勝目で勝負強さをアピールするとともに２００９年９月２１日以来、２年１０カ月ぶりの新潟参戦で存在感を見せつけた。“直千”は７戦３勝２着１回３着２回と相性抜群。ＪＲＡ最年長、５２歳の名手の手綱さばきがさえわたった。

　「最後まで踏ん張ってくれた。重賞制覇に時間はかかったが、香港（１１年香港スプリント１４着）など、いろいろと挑戦したことも、この馬の糧になった」

　鮫島一歩調教師は１０年ＮＨＫマイル１６着から７度目の重賞挑戦で得たタイトルに目を細める。１８日に函館で追い切ったパドトロワは１９日１０時に函館をたち、同日深夜に新潟へ到着。「体が絞れてくるといいタイプ。１０キロくらい減ると思ったが、マイナス２キロ。タフだね」とトレーナーは苦笑いだったが、輸送作戦は奏功。函館スプリントＳ４着の３ポイントにアイビスＳＤ１着の１０ポイントを加え、１３ポイントでサマースプリントシリーズのトップに躍り出た。

　この後は２４日に函館に戻り、キーンランドＣ（８月２６日、札幌、ＧＩＩＩ、芝１２００メートル）へ。サマースプリント王者を目指す。もちろん、スプリンターズＳ（９月３０日、中山、ＧＩ、芝１２００メートル）もターゲットだ。

　パドトロワはバレエ用語で「三人で踊る」。夏の越後で輝いたパドトロワはジョッキー、トレーナーと最高のチームで短距離の頂点へ突き進む。　（森田実）

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