【日本ダービー】ドウデュースV 武豊が史上最年長53歳で6勝目!
ユタカ! ユタカ! 大観衆が戻ってきた競馬場には、やはりこの人が一番似合う。ドウデュースを第89代ダービー馬へと導いた武豊騎手に、東京競馬場に集まった6万人超の『ユタカコール』が降り注ぐ。これが6度目のダービー制覇となるレジェンドジョッキーも、大観衆からの〝サプライズ〟に少しはにかみながら、一礼して手を振った。
「懐かしいですね。一昨年は無観客、昨年(5000人弱)もね。ウイニングランでたくさんのお客さんに迎えてもらえるのは騎手にとって一番の励み。ダービーのこの景色は僕自身久しぶりで感無量です。ジョッキーとしてこれほど幸せな瞬間はない」
ドウデュースとは昨年3戦3勝で2歳王者に輝いたが、今年は2連敗スタート。特に前走の皐月賞は1番人気で3着に敗れており、反撃へ思いを強くしていた。道中は14番手。9年前のキズナを思い起こさせる後方のポジションで進め、直線で自信をもって大外へと誘導した。
「馬の状態が良くて、間違いなくいいレースができると感じた。レースも思っていた以上にいい形になって、4コーナーではしびれるような手応え。前にいる馬は全部かわせると思った」
残り400メートルでゴーサインを出すと、あっという間に先頭に立ってしまい、フラつくシーンもあったが、外からイクイノックスが迫ってくるともうひと伸び。栄光のゴールに飛び込んだ。タイム2分21秒9はダービーレコードだった。
1998年スペシャルウィークでの初ダービー制覇が29歳。それから30代で3勝し、40代、50代でも勝利。53歳での勝利は最年長でのものだが、その陰には人知れぬ努力もあった。騎手の職業病ともいえる腰痛や、過去の落馬で負傷した古傷が年齢を重ねるごとにジョッキーを悩ませることに。実は満身創痍(そうい)。レースの合間やレース後のマッサージはもちろん、日々の入念な体のケアは欠かせないものになっていた。それだけに、今回の勝利は、今まで以上の輝きがある。
武豊騎手にとって、松島正昭オーナーとのダービー制覇も格別。「オーナーは古い友人で、常に一緒にビッグレースを勝てたらいいね、と話していました。夢がかないました」と喜びを口にし、最後にこの秋の大きな挑戦にも意欲を燃やした。
「ドウデュースには初めて乗ったときから可能性を感じていました。ダービー馬でフランスへ。こんなに胸躍ることはない」
凱旋門賞制覇は日本競馬の悲願であり、武豊の夢。最高のチームで、胸を張って世界へと打って出る。
◎武豊騎手アラカルト
◆ダービー6勝目 2013年(キズナ)以来で自身の持つ最多勝利記録を更新した。騎乗回数33回も自身の最多記録を更新。
◆JRA・GⅠ 昨年の朝日杯FS(ドウデュース)以来の通算79勝目。JRA重賞はニュージーランドT(ジャングロ)以来の今年3勝目で通算349勝目。
◆最年長V 53歳2カ月15日での勝利でレース史上最年長優勝騎手となった。これまでは増沢末夫元騎手の48歳7カ月6日。
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