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追い切りは予想をする上でかなりのウエートを占める重要なファクターだ。朝7時の馬場開場からCW(ウッドチップ)コースに目を配り、後ろにある坂路モニターもチェックする。ほどなくして、今回がラストランとなる女傑ブエナビスタがCWコースに登場した。
焦点は『ビシッと攻め切るか、ソフトに仕上げるか』。1週前の14日にはCWでラストまで一杯に追われ、6ハロン80秒5の好タイムをマークしている。関東へ輸送を控えた当週は軽めという選択肢もあったが、陣営は2週続けてしっかり攻めた。
鞍上をリードするように残り5ハロン(1000メートル)からペースアップ。直線に入ってもスピードは衰えず、ゴールまでしっかりしたストライドで駆け抜けた。全体の6ハロン80秒1(強め)も速い。
「ここまで順調にきたのはスゴイな。牝馬は急に走らなくなったりするんやが、これだけコンスタントに走れる。完成されているんやろう。ファンの応援に応えたい」
追い切り後のブエナを確認した松田博資調教師が目を細める。
ブエナと同じような状況だった2003年のシンボリクリスエスも、最終追い切りでビッシリ追われた。最高の仕上がりで有馬連覇を飾り、レース後の引退式に自ら花を添えた。もちろん、馬も厩舎も調教も異なるが、ファン投票1位に支持されたスターホースのラストランにかける思いは同じだ。有終の美を飾るため、究極の仕上げが施されたといっていい。
この一戦に去就をかけるドバイワールドCを制したヴィクトワールピサも意欲的だった。CW3頭併せで内・外の僚馬を4馬身ぶっちぎり、「抜け出すとフワッとするので、そこに気をつけた。ピリッとしているし、集中力が高まっている」と角居勝彦調教師の表情からは自信がうかがえる。昨年の覇者がジャパンC13着から一変しても驚かない。
3冠馬オルフェーヴルは坂路で迫力ある動きを披露し、「菊花賞と同じくらい。あれ以上よくする必要がない」と池江泰寿調教師は余裕の表情。
アーネストリーは坂路を一直線に駆け上がった。佐々木晶三調教師が「まっすぐ走るのはいいときに見せるしぐさ」と言えば、佐藤哲三騎手も「最高のデキ」とベストの仕上がりを強調する。
さすが1年の総決算、有馬記念だ。各陣営に抜かりはない。22日に美浦トレーニングセンターで追い切る関東馬2頭も当然、チェックが必要だ。また、午後に枠順が発表されれば、予想のベースは固まってくる。(森田実)