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今週の牡馬クラシック第1弾・皐月賞は“3強”との呼び声が高い。でも、ちょっと待った! 競馬は血のスポーツとも呼ばれるから、勢いのある種牡馬に注目だ。09年リーディングサイアーは産駒が重賞3勝のマンハッタンカフェで、先週の桜花賞も2着と好走した。今回魅力を感じるのはトライアルの若葉Sを快勝したベストメンバーだ。
軽々しく“3強”とは言わせない。皐月賞トライアルの若葉Sを豪快に差し切ったベストメンバーが、ロジユニヴァース、アンライバルド、リーチザクラウンの3強ムードに“待った”をかける。
どんよりとした曇り空とは対照的に、ベストメンバーのはち切れんばかりの張りを保った黒毛の馬体が状態の良さを見せつける。追い切り前日の14日は栗東CWコース半周→坂路1ハロン(200メートル)を16秒前後のペースで軽く1本登坂。イレ込む様子は一切なく、3歳春のこの時期にしては若駒離れした、落ち着きのある振る舞いが印象的だ。
「デビュー当時はトモ(後肢)に緩さを感じたけど、コース(CW、DW)でじっくり時間をかけて乗り込むと次第に力強さが出てきたね」。宮本博調教師は愛馬の成長ぶりに目を細める。
これまで5戦3勝。勝ち鞍全てが直線に坂のあるコースで、皐月賞と同じ中山2000メートルは3走前の寒竹賞で快勝している。「本番前に1度中山を経験しているのは大きな強み。悔いだけは残したくないからきっちり仕上げるよ」と師の言葉は力強い。
コース経験に加えて、血の勢いも後押しする。父マンハッタンカフェは09年リーディングサイアーの首位を快走中。競走馬時代は菊花賞、有馬記念(ともに01年)、天皇賞春(02年)と中長距離GIを3勝。遅咲きでステイヤー色が濃かったが、種牡馬としては産駒が短距離からマイルでも活躍。先週の桜花賞では重賞初挑戦だったレッドディザイアが0秒1差2着と好走した。今週はベストが続く番だ。
宮本師は調教助手時代に担当していたナリタキングオーが、95年皐月賞で無念の出走取消(右肩跛行)になった苦い思い出がある。それゆえに大舞台での調整の難しさは人一倍理解している。「相手はさらに強くなるけど、皐月賞→ダービーへつながる好レースを期待したい」とトレーナー。乗りやすく、自在性もある馬で、逃げ(リーチザクラウン)、先行(ロジユニヴァース)の人気馬を射程に入れながらレースを運べる点も強み。3強が牽制し合えば、その間隙をつくことだってできるだろう。
牡馬3冠ジョッキーの四位洋文騎手のエスコートで、ベストメンバーが『3強』に真っ向勝負を挑む。(片岡良典)