スプリンターズＳの追い切りが２５日、東西トレセンで行われた。栗東の芝コースでは、春の高松宮記念を制したミスターメロディが、手前の替え方に課題を残しながらも、単走でスピード感あふれる動きを披露。春秋スプリントＧＩ制覇に向けて態勢を整えた。軽快な脚取りで４ハロン５２秒１－１１秒７で登坂したモズスーパーフレアが、調教評価で最高の『Ｓ』となった。

　復権に向けて、ミスターメロディがスピーディーに駆け抜けた。手綱を取った福永騎手が、着実な上昇気配を伝える。

　「休み明けだった前走よりいい動きでした。上積みに関してはあると思います」

　ＧＩ初制覇を飾った春の高松宮記念の最終追い切りと同じく、福永騎手を背に芝コースで単走。序盤から行きっぷりは抜群で、鞍上が懸命になだめながら好ラップを刻んでいく。直線に向いて手綱を緩めるとスッと加速し、ラスト１ハロン１１秒９でフィニッシュ。馬なりながら全体５ハロンも６２秒８の好時計でまとめた。藤原英調教師も「１回叩いたのは予定通り。叩いて上向くつくりもしていた」と良化を口にする。

　ただ、課題もある。全４勝を誇る左回りに対し、今回の舞台となる右回りは４戦して未勝利。秋初戦の産経賞セントウルＳでは、デビュー以来最低となる８着に敗れた。右手前で走りたがるため、右回りでは直線で伸び切れない。この中間は試行錯誤しながら修正を試みているが、右回りのこの日の追い切りでも課題は改善されず…。鞍上は「調教でも右手前が得意で、ずっと右手前で走ってしまうところがある」と指摘する。

　２０１５年に同レースを制したストレイトガールなどＪＲＡＧＩ１０勝を誇る名トレーナーも、その点については半信半疑のようす。「求めている成長曲線にはもう少し欲しいのが現状。うまくハマってくれるかハマってくれないか、手応えは半々」と語るが、短距離王の称号を譲るつもりは毛頭ない。「春の王者だし、それに恥じないようにと思っている。馬はトップクラスだし、馬を信じて臨みたい」と力を込める。

　昨年のファインニードルに続く史上６頭目の春秋スプリント制覇へ。秋ＧＩ開幕を告げる電撃戦で、ミスターメロディが王者の走りをみせる。　（斉藤弘樹）



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手前　馬が走るとき、右前脚を左前脚より常に前に出して走ることを「右手前」と呼び、左前脚が前の場合は「左手前」という。右回りの場合、コーナーを右手前で回るが、同じ手前で走り続けると疲れるため、最後の直線では左手前に替えてパフォーマンスを上げる。どちらもこなす馬が多いが、得意（好き）な“利き脚”がある馬も少なくない。

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