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秋の東京競馬開幕を告げるGII毎日王冠が10日、13頭によって争われ、1番人気の3歳馬シュネルマイスターが、ゴール寸前で差し切った。鞍上のルメール騎手は9日のサウジアラビアRCに続く土日重賞V。この後はマイルCS(11月21日、阪神、GI、芝1600メートル)に向かう予定だ。2着に2番人気のダノンキングリー、3着は4番人気のポタジェが入った。
秋晴れの東京競馬場の空に、GIのファンファーレが高らかに鳴り響いた。それを聞いていたかのようにGI馬2頭が息詰まるゴール前の攻防。きっちりと差し切ったのはNHKマイルCの覇者シュネルマイスターだ。一頭だけ次元が違う末脚を披露してのV。ダノンキングリーをアタマ差かわして、安田記念3着のリベンジを果たした。
9月30日に逝去したJRAの本馬場入場やファンファーレを制作した作曲家すぎやまこういち氏への弔意を表す意味で、GIIの毎日王冠でGIの入場曲とファンファーレを使用。しかもGI馬2頭の決着にファンも拍手を惜しまなかった。
「すごくいい脚を使ってくれました。届かなかったと思ったけど、わずかに勝てました」
昨年のサリオスに続く連覇のルメール騎手は、ゴール寸前での差し切りにほっとした表情だ。それもそのはず。開幕週で先行有利な馬場状態の中でスタートが決まらず、道中は後方待機。ライバルのダノンキングリーが向こう正面で一気にポジションを上げたが、「川田さんの判断は見ていたが、シュネルがあまり進まなかったので、彼をリスペクトしました」と相棒を信頼。腹をくくって最後の脚に懸けた。
そんな鞍上の信頼に応えるパフォーマンスに手塚調教師は「さすがに位置が後ろすぎると思ったけど、あそこから届くとは。改めて成長したなと思いました」と目を細めた。今年はGI2勝を含む、重賞7勝目と絶好調の手塚厩舎。「予定通りにマイルCSに行くと思います。次は行きっぷりがよくなるでしょう」。次はファンファーレどおりのGIの舞台。キングリーとの再戦もあるかもしれない本番に向けて、まだまだ勢いは止まらない。 (三浦凪沙)
★作曲家すぎやまこういち氏追悼し入場曲変更…JRAは10日、9月30日に亡くなった作曲家すぎやまこういち氏をしのんで、東京11R毎日王冠の入場曲とファンファーレを、すぎやま氏が作曲したGI用のものにサプライズで変更。本馬場入場では「グレード・エクウス・マーチ」が出走馬を送り出し、GIIレースでありながらGI用ファンファーレが発走を告げると、場内のファンから大きな拍手が湧き起こった。
■シュネルマイスター 父キングマン、母セリエンホルデ、母の父ソルジャーホロウ。鹿毛の牡3歳。美浦・手塚貴久厩舎所属。ドイツ産。馬主は(有)サンデーレーシング。戦績6戦4勝。獲得賞金2億4971万8000円。重賞は2021年GI・NHKマイルCに次いで2勝目。毎日王冠は手塚貴久調教師が初勝利、クリストフ・ルメール騎手は20年サリオスに次いで2勝目。馬名は「スピードの名人(ドイツ語)」。
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