Tip coliseum > E.Yamazaki's TipNHK MILE CUP G1 - 6/5/2018 Tokyo11R |
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NHKマイルCは、表向きは「3歳マイル王決定戦」。しかし、その実は、クラシック戦線で通用しなかった馬が多く出走してくる舞台。また、社台グループがクラシックで星を奪い合うよりも、勢力を二分化させてこのレースとクラシックを両獲りにくる舞台でもあります。昨年のアエロリットは、まさにそのパターンでした。 つまり、早々とクラシック戦線を離脱してマイル路線に矛先を向けて来たNZTやアーリントンC組よりも、桜花賞や皐月賞組のほうが断然有利。実際に過去3年の優勝馬は、アエロリット、メジャーエンブレム、クラリティスカイなど、桜花賞や皐月賞で掲示板に載れていた逃げ、先行馬ばかりです。 しかし、今年はそのタイプが不在。各馬の大きな能力差がなく、大混戦となりました。しかも、重賞を勝ち上がって来た馬たちが相手に恵まれたレースか、展開に恵まれた馬がほとんどです。今回もレベルが高いレースを、厳選ピックアップしましたので、最後までお読み頂ければ、危険な人気馬と、過剰人気馬がおわかり頂けると思います。 ★レベル1位タイ 2017年 朝日杯フューチュリティS (PP指数19pt) ダノンプレミアムがナリタブライアンと並ぶレース史上最大の着差をつけての圧勝したことで、決着指数が高くなったレース。3着タワーオブロンドンは、前半で折り合いを欠いたにせよ、ダノンプレミアムの直後という絶好位を確保しながらも直線でダノンプレミアムに突き放された挙句、後方からステルヴィオにも差されたのは決定的な敗戦。ダノンプレミアムやステルヴィオが自滅するパターン以外は、逆転の余地がないと感じさせた一戦でした。 逆に4着のケイアイノーテックは、前半でタワーオブロンドンの直後に進路を取りながらも、3~4コーナーでは外目へ誘導。外目に誘導したことで直線序盤で詰まってさらに外へ誘導。そこからステルヴィオと同じ脚色で伸びて、タワーオブロンドンとの差をハナ差まで詰めるなかなかの好内容でした。そのままダノンプレミアム、タワーオブロンドンの直後でレースを運んでいれば、3着はあったものを……。 ケイアイノーテックの鞍上は、直線でいつも外目に進路を取りたがる騎手だけに、タワーオブロンドンの直後では詰まると判断してのことか、身の安全を考えてのことなのかはわかりかねます。しかし、90点でレースを運んだタワーオブロンドンと、45点でレースを運んだケイアイノーテックの騎手力の差が出た一戦だったのは確か。 また、5着ダノンスマッシュは、出遅れて後方列の内々でブレーキをかけながらの競馬。直線でフロンティアの内を狙って、進路を確保してからしぶとく伸びてはいたものの、要所での手応えそのものが悪く、外を回したらもっと着順を下げていたはず。それにスタミナのない同馬が絶好スタートを切って前に行けば、アーリントンCのような結果になってしまうのが見え見えなので、末脚を生かす競馬になったことも悪くないでしょう。 ★レベル1位タイ 2018年 桜花賞 (PP指数19pt) 説明するまでもなく桜花賞は、なかなかハイレベル。例年のようにフィリーズレビュー組のコーディエライトがペースを引き上げて前半3F34秒5の速い流れ。ただし、4~5F目でペースが顕著に緩み、出遅れて最後方列から内々を追い上げて行ったプリモシ―ンがそこで包まれる形。中盤の3~4コーナーで進路がなく、アーモンドアイよりも前にいながら、直線では仕掛けが遅れました。 プリモシ―ンは、直線序盤で進路を中目に取ったものの上手く捌けず、ラスト1Fでも窮屈な位置。また、前に4位争い横一線の壁があり、どうにもならない競馬。緩みの少ない流れだっただけに、展開上は恵まれましたが、まともにレースをさせてもらえていないのも確か。 こういった負け方をすると、次走で穴人気となることが多いですが、そもそも先行していい脚を持続させるスタミナがなければ、勝ち負けできないのがNHKマイルCの舞台。出遅れ癖がありながらも、前走・桜花賞4着という実績から、1番人気に支持された昨年のカラクレナイは、このレースで何着に負けたのか? ★レベル3位タイ 2018年 阪神ジュベナイルF (PP指数15pt) 例年、ハイペースになりやすい阪神ジュベナイルFですが、前走アルテミスSを逃げて2着のサヤカチャンが最内枠を引き、好スタートを切れなかったために包まれる形。さらに前走の札幌2歳Sを制したロックディスタウンが大外枠から積極的に出して行ったために先行勢の仕掛けの意識が遅れて、例年比で見れば遅いペース。 ラスト3F目の4コーナーの下り坂でもペースが上がらずに、ラスト2F目で大きく加速する形。本来、前半で脚をタメてこそのロックディスタウンは、自分のレースをさせてもらえずの9着敗退でした。阪神ジュベナイルFの上位馬が強かったにせよ、この一戦でのロックディスタウンは言い訳が利く敗戦。あとは、前走のフラワーCの13着大敗を、どう見るかでしょう。 ★レベル3位タイ 2018年 毎日杯 (PP指数15pt) 毎日杯当日は、雨の影響が残って少し時計を要し、それを考慮するとある程度レースは流れていましたが、直線だけで2着馬に1馬身半差つけたブラストワンピースのレース内容は優秀でした。しかも、直線の内から前にいたウォーターパルフェを交わしにかかったところで、同馬が苦しくなって蛇行。その際にブラストワンピースに進路が狭くなって軽く内ラチに接触したものの、それでもひるまなかった気性、レースぶりが優秀でした。 ブラストワンピースよりも後方でレースを進めながら、同馬を上回る上がり3Fを使えなかった2着ギベオンは、完敗の内容。しかも、さらに後方の外から来るインディチャンプにも着差を詰められるようでは……。 インディチャンプは出遅れから出して行って、進路なくひっかかってブレーキ、ブレーキという最悪の内容。ブラストワンピースやインディチャンプのほうが強いと言える内容でしたが、毎日杯のレベルとギベオン自身のキャリアの浅さを考えれば、悪くありません。成長次第でチャンスがあるでしょう。 ★レベル3位タイ 2018年 アーリントンC (PP指数15pt) 昨年の朝日杯フューチュリティSがハイレベルだったことを証明したレース。優勝したのは、朝日杯フューチュリティSではダノンプレミアム、ステルヴィオに完敗だったタワーオブロンドンでした。このレースは緩みなく流れたことを考えると、上位3頭は展開に恵まれました。 そして、まさかインディチャンプがハナ差の4着に敗れて出走権を逃すとは……。誘導ひとつで2着のチャンスはあった毎日杯で3着に敗れ、逆にペースが速いこのレースこそ出遅れればいいものを、好スタートを切って、まさかの先行。結果、レッドヴェイロンにハナ差敗れてここに出走して来れないという悪循環。スローペースの未勝利戦では好スタートを切り、アーリントンCでは都合よく出遅れて3着を確保する、レッドヴェイロンの好循環を見習ってくれ!! ★レベル6位タイ 2018年 シンザン記念 (PP指数14pt) 雨の影響で時計の掛かる馬場で行われたものの、ペースが上がらず、上がりの競馬。逃げたカシアス(4番人気)、番手追走のツヅミモン(7番人気)が2着、3着に粘る流れでした。しかし、前有利の流れを出負けして最後方、大外から突き抜けて優勝したのがアーモンドアイ。 レースがラスト2F11秒7-11秒5と加速していく中、アーモンドアイはラスト1Fで1馬身4分の1差突き抜けての優勝。脚が違った、次元が違ったと言わざるを得ないレースでした。休養明け、キャリア3戦目にしてこのパフォーマンス。後の桜花賞馬となるのは当然でしょう。 カシアスは展開に恵まれての3着だっただけに、ここではどうか? また、4着のファストアプローチは、出遅れから内々を追い上げる形になったものの、前半で無駄な脚を使ったのが応えたか? 終い伸びきれずの4着凡退。休養明けのぶんもあったにせよ、昨秋からの成長力が感じられなかった一戦でした。 ★レベル6位タイ 2018年 3/11・阪神500万下 (PP指数14pt) ケイアイノーテックが直線だけで2着ナリタハーデスを4馬身突き放して圧勝したレース。ケイアイノーテックよりも後方、後方から2番手でレースを進めた、上がり3F2位の3着馬プリンセスケイトよりも0.5秒も上回る末脚で勝利した内容は優秀。このレースでも朝日杯フューチュリティSの上位馬強しを証明したレースでした。 ★レベル6位タイ ニュージーランドT (PP指数14pt) 木の枝が揺れるほどの強風の中で行われたレース。最後の直線は追い風で字面上は平均ペースでまとめていても、明らかに差し、追い込み馬が有利なレースでした。そう考えないと騎手が外差しにこだわり、実際に上位馬が外差しだったのも納得いかないというべきか……。 結果、二の脚がつかずに外から被されて、思い切って後方の2番手まで下げきったカツジは、騎手の好判断、好騎乗と言える勝利でした。道中で積極的に位置を上げた2着ケイアイノーテック、3着デルタバローズは、決定的ではないにせよ、苦しい競馬。ケイアイノーテックはカツジに差されて、差し返していたのですが、それがちょうどゴール板あたり。 これは、ケイアイノーテックの追い出されてからすぐに反応しない、エンジンの遅さが災いしていると見ているのですが、こういう乗り難しい馬で乗り替わりの連続。今回も鞍上が初騎乗というのは? 零細牧場や二流厩舎の鞍上確保が難しい現状、今後の課題を突き付けられた気がします。 ○まとめ 今回は、レベルの高いレースを多めにピックアップしました。なぜかというと、NHKマイルCの前哨戦アーリントンCやニュージーランドTで朝日杯フューチュリティの3着馬と、4着馬が勝ち負けしたように、結局のところ、もっともハイレベルだった朝日杯フューチュリティS組が中心であることを知って欲しかったからです。 ただし、タワーオブロンドンに関しては、休養明けの前走・アーリントンCで展開に恵まれて自己ベスト指数をマークした後の一戦。今回で二走ボケを起こす可能性もあり、積極的には狙えません。そこで、今回の◎には、朝日杯フューチュリティSでタワーオブロンドンよりもいいレース内容の4着だった(11)ケイアイノーテックを推します。 この馬は、前走のニュージーランドTで、追い出しがもう少し早ければ、カツジを交わせていたかなあ~というレース内容。前記したようにエンジンの掛かりが遅い馬なので、騎手がテン乗りであることの不安はあります。しかし、現時点でタワーオブロンドンが1番人気に対して、ケイアイノーテックは8番人気。この違いは何でしょうか? 個人的にここでは1番人気でも頷けるほとの馬。ここは素直に本命。 ○は、これまでの強烈に強いレースは見せられていないものの、底を見せ切ってもいない(9)ギベオン。この馬がデビュー2戦目のフリージア賞で3着に降したブレステイキングは、昨日のプリンシパルSでも2着に好走しました。これによりギベオン人気をさらに後押しする形。ブレステイキングは前が崩れたところを差しただけの2着でしたけど……。 これまでに降した相手、レース内容からは積極的に推せませんが、キャリア3戦目の重賞・毎日杯で通用し、ここでも指数上位にランクインできていることは推しのポイントです。競走馬の多くは、デビューから5戦目くらいまでは上昇力を見せるもの。前走からさらなる成長力を見せることが出来れば、ここでも通用するでしょう。 ▲は、初芝のクロッカス賞でいきなり結果を出した(6)リョーノテソーロ。芝馬とダート馬では、餌も鍛え方も違うもの。また、ダートばかりを使っていれば、どんどんダート馬のフットワークになってきます。そのような状況の中で、結果を出せるのは芝適性が高ければこそ。また、この馬は休養明けの前走・ニュージーランドTでは外々からロスの多い競馬。そのぶん最後は脚が上っていましたが、休養明け2戦目の変わり身を期待します。 以下特注馬として、昨年ききょうS、京王杯2歳Sを連勝し、朝日杯フューチュリティSでも3着の(7)タワーオブロンドン。この馬は休養明けの前走・アーリントンCを制して、さらなる地力強化を証明。今回で二走ボケを起こさなければ、上位争いが濃厚でしょう。 △にデビュー2戦目で札幌2歳Sを制した素質馬(18)ロックディスタウン。休養明けで挑んだ前々走・阪神ジュベナイルFは、外枠から早め先頭の苦しい競馬。特に末脚を生かすこの馬には厳しかったはず。また、休養明けの前走・フラワーCは終始折り合いを欠いて全く競馬になっていませんでした。今回で前に壁が作れない点がネックですが、近2走ともレースぶりがまともではなかっただけに、ここで変われても不思議ありません。 あとは、クイーンCのレースレベルそのものはそこまで高いものではありませんでしたが、速い流れを早め先頭から押し切って優勝したことは評価できる(3)テトラドラクマ。この馬は今回が休養明け。休養中に成長していれば、浮上のチャンスがあるでしょう。 他では不利な初芝の前走・ファルコンSで1着といきない結果を出し、芝適性の高さを証明した(16)ミスターメロディ。前走は雨の影響が残って少し時計の掛かる馬場。モズスーパーフレアが後続をやや離して逃げて速い流れ。この流れを折り合い欠いて、抑えきれずの先行策。それでも後続を退けた内容は、相手を考慮してもなかなか優秀でした。折り合い難の馬だけに、外枠はマイナス。折り合いを意識し過ぎて、後方からのレースになり過ぎる可能性もありますが、この馬の芝適性の高さ、芝慣れによる上積みを考えれば、昨年のリエノテソーロのように通用する可能性もあります。 最後に朝日杯フュチュリティSの5着馬(8)ダノンスマッシュ。この馬は、休養明けの前々走・ファルコンSでは1番人気に支持されたものの、例年のファルコンSを比較すると、そこまでペースが上がらない中で出遅れ、何度も進路が作れなかったり、狭くなったりする場面。4コーナー手前で後方に下げても、上手く進路が作れずに馬群の内を捌きながらのレースになったのは致命的でした。また、逆に前走のアーリントンCでは、緩みないペースを先行する形。この馬なりのしぶとさは見せられてはいたものの、外から差し切られての5着が精一杯。しかし、この馬は、本来の中団で脚をタメてこそ。中団からスムーズな競馬ならば、巻き返しがあるでしょう。 |
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