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クラシック候補と呼ばれたアドマイヤコマンドが、1年8カ月ぶりに戦列へ復帰する。青葉賞を圧勝し、ダービーで4番人気に支持された逸材が、左前浅屈腱炎を乗り越えてカムバック。乗り込み量豊富で初戦から目が離せない。
大器がターフに戻ってくる。一昨年の菊花賞前に左前浅屈腱炎を発症してリタイア。その年の日本ダービー7着以来となるアドマイヤコマンドが、ターフの戦場でまた新たに躍動する。
「2カ月ほど前に栗東トレセンに帰ってきた。これまで十分に乗り込んで追い切り本数もこなしている。仕上がりはいい」。調教パートナーの中内田調教助手は納得のいく臨戦態勢に胸を張る。不治の病と言われた屈腱炎だが、医療の進化で治るようになり、カネヒキリのように手術を経てGI馬に返り咲いた例もある。「手術をして今は脚元も大丈夫。医療の進化で素質ある馬がまた走れるようになるのはありがたい」。
デビューは3歳の3月と遅かったが、2着馬に1秒2差をつける圧勝劇を演じた。2戦目ではGIII毎日杯で、ダービー馬となるディープスカイの2着。そして3戦目で挑んだ青葉賞を快勝し重賞ウイナーとなった。続く日本ダービーが7着とこれまでわずか4戦だが、資質の高さ、非凡な能力は一目瞭然の足跡だ。
「長期休養明けでレース勘はどうかだが、新馬勝ちしたレースセンスの良さでカバーしてくれるはず。古馬になって体も大きくなり成長している。以前の気持ちの強さは変わらずありますしね」と中内田助手はうなずく。
19日は坂路を軽く登坂。太め感のない体で雰囲気の良さを漂わせ20日の追い切りに備えた。「能力は高いし、もう1回GI舞台でぜひ活躍してほしい」と陣営の期待は大きい。近づく春の古馬GI戦線へ、帰ってきた大器が、新風を吹き込む。(森本昭夫)