東京の開幕週を飾るサンケイスポーツ賞フローラＳ（２１日、東京、ＧＩＩ、芝２０００メートル）の１～３着馬には、オークス（５月１９日、東京、ＧＩ、芝２４００メートル）の優先出走権が与えられる。テンシンランマンは皐月賞４着のカミノタサハラに真っ向勝負を挑んで２着になった戦績を持つ。素質馬揃いのトライアルを制して、本番へ駒を進める。

　強敵相手の経験が、大事な場面でモノを言う。テンシンランマンは２走前の５００万下（１月２７日、東京、芝１８００メートル）で、カミノタサハラに１／２馬身差の２着。牡馬を相手に好位３番手の正攻法でレースを進め、一度は先頭に立った。

　「完全に勝ちパターンだったけれど、並ぶ間もなくかわされた。相手が悪すぎたね」と伊藤伸調教師。カミノはその後、弥生賞に勝ち、皐月賞で４着に好走したのだから、この２着は高い評価に値する。しかもこのレースで３、５着だったヘルデンテノールとカフェリュウジンは、続くセントポーリア賞で１、２着。５００万下とは思えないほど、ハイレベルな一戦だったのだ。

　必勝を期した前走の５００万下（２月２３日、中山、芝１８００メートル）をきっちりとＶ。「東京向きですが、中山で勝てたのは良かったと思います」と本田調教助手。外傷の影響もあるが、距離適性や脚質などを考慮して、桜花賞戦線には見向きもせずに充電。オークスを目指し、フローラＳに駒を進めてきた。

　ここまで５戦２勝２着２回。昨年１１月の重賞アルテミスＳは大敗（１２着）したが、敗因ははっきりしている。スタート後にごちゃつき、折り合いを欠いてチグハグな競馬となって、キャリアの浅さを露呈してしまった。度外視していい。

　「仕上がりは順調。精神的にも安定していますし、うまくいけばいいなと思っています」と本田助手。牡馬の強豪と互角の勝負を演じた実力を発揮できれば、オークスの出走権は自ずと手に入るはずだ。　（芳賀英敏）

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