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大外から逃げて1冠リーチ! 牡馬クラシック開幕戦・皐月賞の枠順が16日午後に確定した。3強を形成するリーチザクラウンは8枠18番を引き当てた。皐月賞は逃げ馬が2連勝中で、陣営も希望通りの好枠に大満足だ。武豊騎手が手綱を取った追い切りでは栗東トレセンDWコースで6ハロン77秒9の一番時計をマーク。中山への長距離輸送を克服した時、ライバル2頭を倒して劇的なドラマが…。
競馬の神様は、3強対決を控えてドラマを用意した。逃げ・先行策で3勝しているリーチザクラウンの枠順は大外の8枠18番。18頭立てで皐月賞が行われるようになった1990年以降、18番からはトウカイテイオー(91年)、サニーブライアン(97年)と2頭の2冠馬が誕生。サニーは皐月賞&ダービーとも逃げ切った。しかも07年ヴィクトリー、08年キャプテントゥーレと皐月賞は逃げ馬が連勝中だ。
橋口弘次郎調教師は「希望通り。ここなら自分のペースで競馬ができるし、オレがジョッキーなら中途半端な内よりもこの枠の方がいい」とご満悦。武豊騎手も「リーチは速く走るのが好き」と逃げ戦法を匂わせる。リーチの父スペシャルウィークは98年、武豊騎乗で、きさらぎ賞→弥生賞連勝で挑んだ皐月賞で18番に入り1番人気で無念の3着。今回はその雪辱のチャンスだ。
この日午前のリーチの追い切りがまた素晴らしかった。栗東DWコースで6ハロン77秒9の一番時計。武豊騎手を背に僚馬インダストリアル(牡4、500万下)とスパーリング。前半から14秒2→12秒3→12秒2と速めのラップを刻み、残り600メートルで早々と僚馬に並びかける。直線では外に併せてユタカが手綱を短く詰めてGOサインを送ると、大きな完歩で力強くチップを蹴り上げ、アッと言う間に1馬身差をつけてゴール。お釣りを残しながらも6ハロン77秒9、3ハロン39秒2-12秒5を叩き出すのだから、潜在能力は世代トップクラスだ。
「時計が思ったより速く、理想的なけいこではなかったが、大一番の前の最終調整で手加減はなく、満足のできる仕上がりにはある」と橋口調教師は胸を張る。デビュー時は520キロあった体重が前走のきさらぎ賞では500キロまで減少。必要以上にテンションが上がってしまうのが悩みの種だ。追い切り後の計量では508キロ。馬体の維持がポイントだ。
「中山まで輸送しても500キロは切らないと思う。能力的にも、きさらぎ賞も勝って当然だったし、鞍上とぴったり呼吸を合わせられればロジユニヴァース、アンライバルドにもヒケを取らない。皐月賞を勝つのも大事だが、あの2頭に勝つために日々頑張ってやってきたんだから…」。愛馬の素質に惚れこむ橋口師からは熱い思いがほとばしる。
先週の桜花賞では、同じスペシャルウィーク産駒のブエナビスタが完勝した。宿敵2頭を倒し、父が成し得なかった皐月賞制覇へ-。リーチザクラウンが天才ユタカの手綱で1冠獲りに臨む。(片岡良典)