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池江泰郎厩舎の3歳牡馬2頭が、一気に天下取りを目指して出陣する。父母が揃ってGIウイナーという超良血馬のトゥザグローリーは、充実の秋3走目。3連勝中のゴールスキーも勢いなら負けていない。キャリア的にまだまだ伸びしろのある素質馬だけに、陣営の期待も大きい。
このメンバーに入っても、素質、能力、血統、さらにキャリア的にも最も不気味な存在だろう。トゥザグローリーが新馬勝ち以来のマイル戦で、GI制覇を狙う。
「浅いキャリアで強い馬たちと差のない競馬を続けてきた。血統や気性的にはスローになる長い距離より、速い流れのマイルの方がいいだろうね」
池江郎調教師の言葉には説得力がある。7戦して戦績は【3・2・0・2】。3戦目の青葉賞はペルーサの2着、4戦目のダービーは7着だが、勝ち馬エイシンフラッシュからコンマ5秒しか負けてはいないのだ。そんな好素材が古馬相手のカシオペアSを完勝して、充実の秋3走目を迎える。
「厩舎ゆかりの血統馬で、デビュー時からクラシック候補と考えていた。これからの馬だし、ようやく蕾から花が開いてきた感じだよ」
こう言ってトレーナーは目を細めた。母トゥザヴィクトリーは、同厩舎で01年エリザベス女王杯など重賞4勝、ドバイワールドCでも2着に激走した名牝だ。父は04年ダービー馬キングカメハメハ。これだけの血を受け継いだ以上、誕生した時からGI制覇の宿命を背負っているといっても過言ではない。
まして、来年の2月一杯で定年を迎えるトレーナーにとっては、昭和32年の騎手見習い時代から縁の深かった京都競馬場で戦う最後のGIだ。「京都は修行したホームグラウンド。調教師としてもディープインパクトの3冠やメジロマックイーンの天皇賞連覇など思い出は尽きない。もう1頭のゴールスキーとともに、いい競馬を見せてほしいね」。この時ばかりは名伯楽の口調も一段と熱くなっていた。 (正木茂)