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菊花賞で歴代最多の5勝を挙げる武豊騎手(53)=栗・フリー=が、❸枠⑤番ヤマニンゼストで3年ぶりのV6を狙う。今秋は若手のGⅠ初勝利が続いているが、道中での駆け引きが求められる長丁場では名手の手綱さばきに注目だ。
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GⅠウイナーの参戦がなく、主役不在と評されるラスト1冠。ならば、菊花賞男の腕がものをいうシーンがありそうだ。歴代最多の5勝をマークする武豊騎手が、ヤマニンゼストで虎視眈々と一発を狙っている。
「さすがに強い馬はいるけど、距離は問題なく、競馬も乗りやすいです。馬混みも、折り合いも大丈夫です。そういうところで狙っていきたいですね」
今秋は若手の活躍が目立つ。荻野極騎手がジャンダルムでスプリンターズS、坂井騎手がスタニングローズで秋華賞を制し、ともに25歳、デビュー7年目でのJRA・GⅠ初勝利を飾った。そのトレンドとは逆行するが、戦略など経験が求められる長距離戦なら53歳、36年目を迎えた名手の出番だ。
今年のクラシックでコンビを組んだ日本ダービー馬ドウデュースは今秋、凱旋門賞(19着)に参戦。ラスト1冠はパートナーが不在だったが、夏場に滞在していた北海道で目を付けていたのが、「札幌での勝ちっぷりが見ていて印象的でした」と振り返るヤマニンゼストだ。
初コンビだった前走の神戸新聞杯は、12番人気ながら2着に入って優先出走権を獲得。中団後方で脚をため、直線は内から末脚を伸ばした。「狙い撃ちで一か八か、(前が)あかなかったら終わりだったけど、うまくいきましたね」と笑みを浮かべた。千田調教師は「うまく乗ってくれました。それに尽きると思います」とたたえ、「距離は長ければ長くなるほど騎手の占めるウエートが上がってくる。乗ってもらえるのはプラスでしかない」と信頼を寄せる。
2019年には皐月賞(サートゥルナーリア)、日本ダービー(ロジャーバローズ)の勝ち馬が不在の中、GⅠ初出走のワールドプレミアで混戦を断った。若手以上の向上心を持ち続ける武豊騎手が、今年はヤマニンゼストとともに主演を務める。(長田良三)
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◆…追加登録料200万を支払って参戦するヤマニンゼストは❸枠⑤番に決定。舞台は違うが、武豊騎手がV5を飾った19年のワールドプレミアと同じだ。千田調教師は「枠はどこでも良かったです。あれだけの(武豊)ジョッキーですからどこでも大丈夫でしょう」とうなずいた。