第６５回ラジオＮＩＫＫＥＩ賞（３日、福島１１Ｒ、ＧＩＩＩ、３歳オープン国際（特指）、ハンデ、芝１８００メートル、１着本賞金３８００万円＝出走１６頭）戸崎圭太騎乗の１番人気ゼーヴィントが好位から抜け出して快勝、重賞初制覇を飾った。タイム１分４７秒０（良）。次走は未定だが、放牧して秋に備える。２着は牝馬のダイワドレッサー、３着はアーバンキッド。武豊騎乗の２番人気ブラックスピネルは５着に敗れた。

　ディープ産駒の切れ味が、みちのくに夏の到来を告げた。福島開幕を待ちわびた多くのファンの声援に背中を押されたかのように、１番人気のゼーヴィントが重賞初勝利を飾った。

　「以前に乗せてもらったとき（山藤賞１着）に素質を感じていたし、きょうはハンデ（５４キロ）にも恵まれたから、勝たなければいけないと思っていました」

　東日本大震災後２番目に多い１万８９０１人（最高は２０１４年七夕賞当日の１万９２５０人）が詰めかけたスタンドに向けて、戸崎騎手が笑顔をみせた。

　この日は課題だったスタートを決め、好位の内々を追走。４コーナーでも馬群に包まれたままだったが、直線入り口で前があくと、あっという間に先行勢を抜き去った。

　「いいスタートが切れたのでリズム良く運べました。４コーナーも手応えは十分だったし、馬群を縫う感じでうまく立ち回ってくれました。今後も楽しみですよ」

　ＪＲＡ重賞３０勝目となる戸崎騎手は、秋の飛躍に手応えをつかんだ様子だ。

　「この世代の管理馬の中で、ゲート試験での出方をみて、ディープ産駒だなと思った。沈む感じとかね」

　昨年のフラワーＣとスワンＳ（どちらもアルビアーノ）に続く、重賞３勝目の木村調教師は、予感した素質を大事に育ててきた。今年に入って５戦目だけに「フレッシュさはない」とレース前に話していたが、「そういう状況でも結果を出したのは能力の高さ。テンションが高いのが心配だったけど、そんなの関係ねー、って感じだったね」と、表彰式でプレゼンターを務めた小島よしおのギャグを使って、愛馬の成長した姿を喜んだ。

　この後はすぐに福島県のノーザンファーム天栄に放牧。路線は決まっていないが、「個人的には距離が延びても大丈夫だと思っている」と木村師。まだまだ進化途上のゼーヴィント。春のクラシック組と対戦する秋が楽しみになってきた。（柴田章利）

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