編集部（以下、編）　今週は、いつにも増して乗り替わりに注目が集まったと思います。

新良（以下、新）　ルメール騎手の落馬負傷の影響ですね。

編　はい。ルメール騎手のアクシデントは本当に残念ですし、早い回復を願うのみですが、それによって有力馬の乗り替わりが多数発生することになりました。

新　なかでも桜花賞のチェルヴィニアに関しては、ずっと話題になっていましたね。


編　ファンの間でも「誰が乗るんだ」と、この話題で持ちきりでした。そして、最終的にムルザバエフ騎手に落ち着いたと。

新　ギリギリまで発表されなかったので、サプライズがあるのか、それとも陣営内の意見がまとまらずにもめているのか、などなど、いろいろ想像をめぐらせてしまいましたが、順当な結論だったなという印象です。

編　そのチェルヴィニアも含め、桜花賞では8頭が乗り替わりになります。狙い目はもう決まりましたか？

新　はい。ルメール騎手からモレイラ騎手に乗り替わる⑫ステレンボッシュに注目します。

編　おお、チェルヴィニアではなく、同じ前走ルメール騎手騎乗馬のこちらを選びましたか。

新　チェルヴィニアが強いことは間違いありませんが、私はそこまで高く評価していません。純粋にステレンボッシュのほうが強いと思っています。

編　なるほど。ムルザバエフ騎手とモレイラ騎手の比較ではなく、馬の能力で決めたということですね。

新　ステレンボッシュはG1で僅差2着に好走した実績のある馬。チェルヴィニアはG3を勝っただけの馬。もちろん、やってみなければわかりませんが、どちらが格上かは明白でしょう。


編　「ルメール騎手が乗る予定だった馬」が、イコール「いちばん強い馬」にはならないということですね。

新　サンデーレーシングの木村哲也厩舎の馬ですからね。関係上、ルメール騎手もチェルヴィニアに乗らざるを得ないという事情もあったのではないかと思います。心の中では、ステレンボッシュに乗りたかったという可能性もおおいにあるでしょう。

編　いずれにせよ、ステレンボッシュはモレイラ騎手を確保できたわけですから、評価を下げられないですよね。

新　モレイラ騎手で結果オーライ。そんな展開になる気がしています。

編　モレイラ騎手がうまいことは百も承知ですが、具体的な推奨根拠を詳しく説明していただけますか。

新　いちばんは、直線が長く、末脚勝負になりやすいコースをモレイラ騎手が得意にしている点です。阪神芝1600mなら持ち味を存分に発揮できるのではないかと。

編　そういうデータが出ているわけですね。

新　モレイラ騎手は阪神での騎乗経験が少ないので、阪神芝外回りと成績がリンクしやすい東京芝のデータで比較してみました。2021年以降、ルメール騎手の勝率29.2%に対し、モレイラ騎手は31.6%。まったく遜色がない、というより、わずかながら上回っています。


編　ステレンボッシュは前走で鋭い末脚を見せていたので、コース形態も含め、モレイラ騎手にフィットすると判断したんですね。

新　前走はアスコリピチェーノにクビ差2着。G1での好走は評価できますが、私はルメール騎手の小さな騎乗ミスがまねいた結果で、乗り方ひとつで勝てていたとみています。4コーナーでスムーズに追い出せたアスコリピチェーノに対し、ステレンボッシュはその後ろで内と外に進路取りを待つシーンがありました。先行馬が崩れていくのを一瞬だけ待ったのが、クビ差負けにつながった気がするんですよね。

編　もう少しスムーズな競馬ができていれば、ということですよね。

新　その通りです。それを今回、モレイラ騎手がやってくれたら、逆転の余地は十分にあるのではないでしょうか。

編　人気の面ではアスコリピチェーノのほうが上。ここは馬券的に絶好の狙い目と言えますね。

新　あとはモレイラ騎手の“マジック”に期待するのみです。しっかりアタマを取ってもらいましょう。


★その他の注目乗り替わり★
阪神6R　⑧ティエラサンタ（団野大成→川田将雅）
福島10R　④オーガスタスカイ（団野大成→菅原明良）
中山12R　⑦アイベラ（小林勝太→戸崎圭太）

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