「サマー２０００シリーズ」第４戦・札幌記念の追い切りが１９日、札幌競馬場で行われた。ＧＩ３勝馬ラッキーライラックは芝コースで６ハロンから計測し、５ハロン５９秒０という実戦さながらの時計を馬なりでマーク。最高の調教評価『Ｓ』となる内容で初の洋芝への適性も示し、秋への始動戦で貫禄を見せつける。

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　強烈すぎるデモだった。ＧＩ３勝馬ラッキーライラックが、スピード感あふれる走りで札幌芝コース６ハロン７４秒８をマーク。５ハロンからは５９秒０－４６秒７－３３秒７－１１秒７という実戦レベルの時計を馬なりでたたき出し、計測していた記者から驚きの声が上がった。やはり、心肺機能と脚力は桁違い。調教評価は最高の『Ｓ』となった。

　「やりすぎるのも嫌だけど、余力を残しすぎるのも嫌だったし、ちょうどいいくらい。ＧＩ馬だからね。これくらいの時計は出る。馬は気分良く走れてスッキリした感じだよ。競馬の時計にも慣らしたかったし、これで予行演習は大丈夫」

　稽古をつけた丸内助手が笑みを浮かべる。追い切りを終えて厩舎地区に引き揚げたときにも、ケロッとした様子。阪神ＪＦ、エリザベス女王杯、大阪杯を制した女傑は、この猛時計でもオーバーワークにはならない。

　角馬場からダートを横切って芝コースに出るイレギュラーな状況に戸惑い、近くの係員の手を借りるシーンもあったが、走り始めれば折り合いもスムーズ。馬場の中央を単走で真っすぐ駆け抜けた。鞍上は「（初の）洋芝の不安も吹っ飛んだでしょ。１回もノメっていない」と余裕の口ぶり。北海道特有の洋芝の適性もきっちり示した。

　２歳夏のデビューから３歳春にかけてＧＩを含め４連勝を飾ったが、当時は素質だけで走っていた。「昨年の夏を越して体が大きく成長し、香港遠征がこの馬をさらに強くした」と丸内助手は明かす。その香港ヴァーズは、輸送で馬体重が２０キロも減る厳しい状況を覆して２着。苦境を乗り越えた経験が、今春の大阪杯Ｖにつながった。

　前走、宝塚記念６着の敗因は明らかだ。松永幹調教師＝円内＝は「（直前の大雨で）稍重馬場の影響もあったし、前半にポジションを取るために仕掛けたことが最後にこたえたと思う」と分析済み。さらに、ここへ向けてもデキの良さを強調する。

　「ひと息入ったけど、休み明けという感じはない。ここの内容次第で秋の路線が決まると思うし、まずはしっかり結果を出したい。前半をリラックスして運べるかが鍵になる」

　例年なら休養に充てていた夏場の始動も、それだけ仕上がりがいいからこそ。北海道最大のレースで、実力を見せつける。（板津雄志）

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