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日本のトップジョッキーが、ついにターフに戻ってくる。昨年5月11日の大井競馬で落馬して、頸椎歯突起骨折の重症を負った内田博幸騎手(41)=美・フリー=が、28日の東京競馬で8カ月半ぶりに復帰を果たす。「段階を踏んで準備してきたし、自信満々で行く」と“ウチパク”は意欲満々。復帰週からファンを魅了する騎乗を見せてくれるはずだ。
待望の瞬間が近づいてきた。騎手生命が危ぶまれる骨折を負ったが、懸命の治療と厳しいリハビリに耐えて、内田博幸騎手がファンの前に戻ってくる。中山での復帰も可能だったが、じっくりと態勢を整え、予定どおり28日の東京で復帰する。
「ようやくだね。追い切りの時計も指示通りで乗れているし、調教での感覚は戻っている。ここまで段階を踏んで準備してきたし、自分としては自信満々で行く。そうじゃないと周りに迷惑がかかってしまうからね」
そう話す“ウチパク”の清々しい笑顔が、万全の態勢を物語っている。
地方競馬のNo.1ジョッキーとして名を馳せ、08年3月にJRAに移籍。09年に146勝を挙げ、JRAでもリーディングを射止めた。10年にはエイシンフラッシュでダービーを勝つなど、その騎乗は冴えわたる。昨年も骨折するまでは35勝を挙げて、関東リーディングの首位を走っていた。
その名手を襲ったアクシデント。「(骨折してから)1週間ほどは体も動かせず、言葉を発することも辛かった」と振り返る。7月に骨折を固定していたボルトが取れてからは、骨折した首の部分の筋肉をはじめ体全体を鍛え抜き、自信を持って迎える復帰の舞台だ。
今週は東京で計10鞍に騎乗。日曜のGIII根岸Sにはタイセイレジェンドで挑む。東京ダートは4戦2勝と得意で、前走のGIIIカペラSは3着。チャンスの1頭を託す矢作調教師は「体幹がしっかりしているし、あれだけのジョッキーだからね。信頼しているし、がんばってほしい」と期待を寄せており、フェブラリーS(2月19日、東京、GI、ダ1600メートル)でのグランプリボスの騎乗も依頼済みだ。
「(復帰週に)勝てればいいが、競馬はそんなに甘くない。でも、やるしかない。レースに出られるうれしさを噛みしめて、責任を持ってがんばりたい」
そう語るウチパクが、長いブランクを払拭する手綱さばきで、真冬の東京を盛り上げるはずだ。 (片岡良典)
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