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朝日杯FSの追い切りが13日、東西のトレセンで行われた。美浦では東京スポーツ杯2歳Sの覇者シュトラウスが、コース改修後の坂路で最速タイとなる4ハロン50秒4をマークし、調教評価『S』を獲得。2歳マイル王に向けて、視界良好だ。
高低差33メートルの急勾配を、いともたやすく駆け上がった。搭載エンジンが違い過ぎる。シュトラウスは、美浦坂路で併せ馬。ラスト300メートルでグランシエロ(1勝)を軽くパスして1馬身先着した。4ハロン50秒4(1ハロン12秒7)は、この日の一番時計どころか、10月に坂路がリニューアルオープンして以降で最速タイ。もちろん、調教評価は最高の『S』だ。
「テンに少し速く入りすぎたので、52秒くらいの予定が速くなってしまいましたが、すごく楽に上がってきてこの時計。やはり、能力はかなりあります。体に関しても前回よりいいです」
武井調教師は好気配にうなずいた。1ハロンごとのラップは13秒2─12秒1─12秒4─12秒7。「2ハロン目に行きたがる面が前走時より強かった」と修正すべき点も挙げたが、「その後はペースを戻せているし、決してノーコントロールな馬じゃない。レースまでにもう少し落ち着かせることができれば」と評価。直前の長距離輸送を避けて14日に栗東に移動し、心身とも好状態でレースに持っていくつもりだ。
父も母もマイルのGⅠウイナーという良血は、6月3日に行われた世代最初の新馬戦(東京芝1600メートル)を9馬身差で圧勝。折り合いの難しさをのぞかせながら、その後もサウジアラビアRC3着、東京スポーツ杯2歳S1着とハイレベルな走りを続けてきた。
「(前走は)体調的に万全ではなかったけど、返し馬で先出しするなどして落ち着いてレースに向かえました。ペースも流れてくれたことで、この馬としては抑えられていた感じ。レーン騎手、ルメール騎手、モレイラ騎手が我慢を教えてくれたおかげ」と指揮官はこれまでの鞍上に敬礼だ。
新たに手綱を任されるマーカンド騎手も、大きな期待を寄せる。「(前走の)出走馬の中でも、シュトラウスはすごく目立っていた。もう完成しているかのような好馬体」とひとめぼれ。当初は中山で予定していた騎乗を取りやめ、阪神への参戦を決めたほどだ。
まだ粗削りなのは確か。それでも、シュトラウスにはGⅠを射止めそうなすごみがある。(板津雄志)