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今週は牝馬の頂点を決める一戦、エリザベス女王杯が行われる。「俺のチェックポイント」2日目は、東京サンスポの山口遥暉(はるき)記者が美浦でライラックにフォーカスを当てる。前走の府中牝馬S3着で示した確かな成長とは―。昨年2着同着のリベンジを果たす可能性に迫った。
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2019&20年に連覇を果たしたラッキーライラックや17~19年に3年連続2着のクロコスミアなど、エリザベス女王杯は、過去の好走馬が再び上位に食い込むリピーターレースとして知られている。
そこで注目したのは、舞台こそ違えど前年2着同着のライラックだ。前走の府中牝馬Sで3着と復調ムードで、12番人気だった昨年同様の激走はあるのか。季節外れの生温かい風が吹きすさぶ中、坂路を駆け上がったばかりのライラックが待つ相沢厩舎へ向かった。
「変わらず仕上がりはいいね。前走はスムーズなら(着順は)違ったかもしれないけど、収穫もあったよ」
担当の三尾助手が表情を緩めた。収穫は2つある。まず1つ目は馬体面だ。「この年になって背が伸びたし、食べた物が身に付いている」と18キロ増となる過去最高の448キロで出走できた。調教の度に体を減らしてしまった姿は過去のもの。前走時と変わらぬ丸みを帯びた抜群のプロポーションからは、心身の充実具合がうかがえる。
2つ目はポジショニング。以前は後方から道中でまくり気味に進出していく戦法だったため、展開の恩恵が好走の必須条件だった。しかし、前走は4、5番手を無理なく追走。「あの位置で競馬ができたのが何より。文句なしだね」と大一番へ向けて手応えを得た様子だった。流れにとらわれない自在な脚質を手に入れたことは好印象だ。
昨年のエリザベス女王杯以降は、4、9、17着と苦戦を強いられていたが、相手は歴戦の牡馬たち。前走は牝馬同士で改めて力を示した。「昨年は展開に恵まれたとはいえ、そもそも力がなければ2着には来られていない。(東京の)究極の瞬発力勝負より、長くいい脚を使える今回の舞台のほうが合っている」と三尾助手。進化を遂げた4歳牝馬が、晩秋の淀で大輪の花を咲かせるシーンが目に浮かんできた。(山口遥暉)