ツチノコは実在するか？

100人に訊けば99人が「いない」と言うだろう。残りの一人、つまり存在すると思う人間の一人に私がいる。冗談でも何でもなく、ツチノコは実在すると思っている。名前の由来は二説あり、普段は土の中にいるから「土の子」だとする説と、頭が極端に太い体型が“打ち出の小槌”みたいだから「槌の子」だとする説がそれらだ。個人的にはどちらも正しいと思っている。江戸時代の書物ではツチノコは野槌（のづち）と掲載されており、その名が体型由来であることが窺えるが、一方で殆ど分からない生態を推測するに、一生の大半を地中で過ごすから人目につかないという仮説を立てれば、極端に少ない目撃情報にも頷けるのだ。

ジムグリという蛇はご存じだろうか？ 知っている人はいても実際に野生の個体を見たことがある人は少ないだろう。地面に潜るから地潜り（じむぐり）と呼ばれるこの蛇は水辺に棲み、文字通り地中に潜る。興味深いのは、餌になるミミズやモグラの子供が手に入り易い春と秋にはわずかに活動するが、それ以外の時期は絶食しほとんど動かないのだという。ツチノコが同じような生態で、ジムグリよりも個体数が圧倒的に少ない蛇ならば、目撃例が極端に少ないのも理解できるし、目撃情報が春と秋に集中するのも納得がいく。退職後は日本随一のツチノコ目撃例を誇る土浦で、のんびりツチノコを探しながら余生を送ると決めている。（笑）

せっかくなのでツチノコの動きについても目撃談や伝承を元に語らせてもらうと、とにかくこの蛇は俊敏で弱点らしい弱点がない。しかし、もし仮に野外で出くわし襲われる羽目になったら唯一楽に逃げられる方法がある。それは坂道を駆け上がることだ。体を丸めて車輪の様に回りながら坂道を下るのは上手だが上るのは苦手で、殆どアリの歩くスピードでしか坂を上れないという。


さて、坂を上るのが下手と言えば競馬にもそういう馬が存在する。京都や福島でスイスイ逃げ、好時計勝ちした馬が阪神や中山でパタッと止まり惨敗するシーンなど、よく見る競馬風景の一つだ。今週メインの一つ、みやこステークスはそんな坂に関係する格言でアプローチしてみる。

曰く「阪神ダートは坂上手を狙え」。

みやこステークスも開催日程調整の中で阪神に移設されまだ2年しか経っていないレースだが、2年間の3着以内馬のステップを調べてみると、6頭全てが同年のみやこステークスより前に、中京または阪神のオープン以上の、1800～2000mのレースで馬券圏内に最低一回は来ていた。

ハピは先のレパードステークスで本命を打ち3着に敗れたが、続くシリウスステークスでは3歳馬ながら見事2着に食い込み、存在感を示した。中京ダートの1900ｍ、重賞での実績は大きな後押し材料となり、オメガパフュームの圧倒的1番人気が予測されるここでは配当的に見てかなり魅力がある。

秋は下克上の秋。3歳馬のジャイアントキリングが見てみたい。

（文：のら~り）　

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