サンスポの東西精鋭記者が、１週間の密着取材で勝ち馬を探るＧＩ限定の名物企画『東西現場記者走る』。暮れの大一番、有馬記念は大阪サンスポの川端亮平記者（３３）が担当する。連載３日目は伏兵に狙いを定め、復調気配が漂うアドマイヤデウスをピックアップした。２走前の京都大賞典では、キタサンブラックにクビ差の２着と肉薄。良績を残す内枠を引ければ、大駆けの可能性がありそうだ。

　密着３日目の滋賀・栗東トレセンは、いつもの火曜日よりも慌ただしかった。今年の最後は金曜日からの３日間開催のため、全休日明けにもかかわらず、追い切りを行う馬がいたからだ。

　こんなときは思うように取材が進まないこともあるが、これも何かの運命か。調教スタンドから厩舎に向かおうとした矢先、ターゲットのアドマイヤデウスを担当する松田助手が、こちらに歩いてくるのを発見。ちょうど調教が始まるタイミングだったようだ。坂路を映すモニターの前に並んで座り、登坂する姿をチェック。序盤こそ頭を振って力んでいたものの、リズムに乗ってからは力強く駆け上がった。

　「いい状態やね。この秋で一番いい。以前は弱いところがあったけれど、筋肉がグッと張り詰めて充実期に入ったね」

　今秋からは調教内容を変えた。これまでは坂路のみで仕上げていたが、秋初戦の京都大賞典時からは週中の追い切りをＣＷコースで行っている。効果はいきなり表れた。その京都大賞典では、好位からしぶとく脚を伸ばしてキタサンブラックのクビ差２着。勝ち馬より斤量が２キロ軽かったとはいえ、評価できる内容だ。松田助手は「ＣＷコースでやることでリラックスできるようになり、レースでも落ち着きが出ている」とうなずく。

　同じ斤量で戦う今回はアドバンテージがなくなるが、ある条件を満たせば要注意。それが内枠だ。器用に立ち回れるタイプで、（１）～（３）番枠なら５戦して２勝、２着１回、３着２回と馬券圏内を外していない。

　この有馬記念は内回りコースの舞台設定で、ロスなく立ち回れる内枠有利が明らか。（３）番枠が最多の１０勝で、近２年も内めの枠を引いたジェンティルドンナ（（４）番）、ゴールドアクター（（７）番）が好位で立ち回って抜け出して勝利した。最近の勝ち馬の傾向にマッチするタイプといえる。

　松田助手は「競馬が上手だからトリッキーなコースは合うし、岩田騎手とも手が合っている。どうしても内枠が欲しいね。引ければ、一発あるよ」と締めくくった。

　アドマイヤデウスの取捨選択は、２１日の枠順抽選次第。運を引き寄せれば、不気味な存在として急浮上しそうだ。　（川端亮平）

東西現場記者走る　一昨年の春に始まったＧＩ限定の連載企画。東西サンスポが誇る精鋭記者たちが、トレセンで１週間の密着取材を行い、勝ち馬に迫る。結論を出すのはレース当日。有馬記念は通常より１日多く、７日間にわたってお届けする。

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