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サマーマイルシリーズ第2戦、中京記念の追い切りが19日、栗東トレセンで行われた。安田記念13着のダノンスコーピオンは、栗東坂路で力強い脚さばきを披露。久々の重賞タイトル獲得に向け、好気配だ。手綱を取った安田助手は、納得の表情を浮かべた。
「先週までに息はできているので、上がり重点で。走りに素軽さがでてきましたね」
前半2ハロンは16秒2-14秒8。馬なりのままギアを上げ、ラスト2ハロンは13秒0─11秒9とシャープに伸びてフィニッシュした。全体の時計こそ4ハロン55秒9と控えめなものの、ゴールに向けての加速は実に迫力があった。
昨春のNHKマイルC覇者だが、昨秋の富士S3着後は11、6、11、13着とさえない結果が続いている。「以前から右トモ(後肢)の緩さがあったが、昨年のマイルCSあたりからより目立ち始めていました。直線でバテたというより、緩さが起因して踏ん張れないことがこたえていた」と敗因を分析する。
前走後はその右トモの緩さを解消することを主眼に調整。毎週日曜に長針を打って筋肉をリラックスさせ、成長を促進。坂路でラスト1ハロン11秒台を4週連続で記録するなど、鍛錬の密度も上げてきた。「だいぶスムーズに走れるようになって、バランスが良くなってきた。前回より体が分厚くなってきたし、どんな走りができるか楽しみ」と手応えを感じている。
今回は初めて走る中京芝マイルに加え、最重量のハンデ59キロ。厳しい条件が重なるが「相手や斤量どうこうより、今のスコーピオンは能力を出し切れるかどうか。本来の力を出し切れれば、問題ないかなと思っている」と見通しを語る。
陣営の工夫で復調気配が漂う。これまで戦ってきた相手を考えれば、ここでは実力上位だ。メンバーただ一頭のGⅠ馬が、真夏の中京で輝きを取り戻す。(増本隆一朗)