関東馬のダービー優勝は９７年のサニーブライアンが最後。１１年連続で関西馬に優勝をさらわれている美浦トレセンで反撃の火の手は至るところで上がっている。

　黒田記者が密着したのはナカヤマフェスタの追い切りをつけた蛯名正義騎手。「これが本当なんだよ」と左回りで一変した動きにジョッキーが意を強くする。「初騎乗はシャコーグレイド（９１年＝８着）。これがダービーなんだってワクワクした。ハイアーゲーム（０４年＝３着）の時も（２着を取りにいかずに）勝ちに行く騎乗をしたのは間違いじゃなかったと思っている。誰だって勝ちたいレースなんだから」。ダービーを語れば口調は熱くなる。「あの地響きがするような独特の雰囲気を今年も楽しみたい」

最終登録馬

　高尾記者はじめ報道陣が取り囲むのは、プリンシパルＳを快勝したケイアイライジンを送り出す尾形充弘調教師。ダービー出走はブラックタキシード（９９年＝５着）以来となる。「オリンピック精神ではない。出走するだけで満足していられないよ」。ケイアイライジンの母を購入したのは先代のオーナーの亀田守弘氏。「生まれて３日目の姿形が目についた。先代もダービーは見たかったと思うよ」と尾形師は亡きオーナーに夢舞台での好走を誓う。

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　皐月賞馬アンライバルドなど有力各馬が順調に１週前追い切りを終えた栗東トレセンは、午前９時には気温が２３度まで上昇した。汗ダクになりながら精力的に取材に励む下村記者。一方で、新型インフルエンザにビビりながらマスク着用で厩舎をまわっていた片岡記者は、ジョーカプチーノのダービー正式参戦のニュースに遭遇した。「オーナーの了承は得た。今の状態をうまく維持していきたい」という中竹和也調教師は開業１１年目でのダービー初参戦。「ハミをかまずに楽に走れれば距離はもつと思う」。史上３頭目の変則２冠達成に夢は膨らむ。

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