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下半期のダート王を決めるチャンピオンズCの追い切りが29日、栗東トレセンで行われた。クラウンプライド(栗東・新谷功一厩舎、牡4歳)が坂路でこん身の仕上げを施し、調教評価は最高の『S』となった。心身ともに充実期を迎え、昨年2着の舞台でのGⅠ初制覇に向けて万全の態勢をアピールした。
ウッドチップを豪快に蹴り上げた。昨年2着のクラウンプライドが、黒鹿毛の馬体を弾ませ、栗東坂路をパワフルに駆け上がる。動きを見届けた新谷調教師は、納得の表情で口を開いた。
「(2カ月半の)休みを挟んでいるので、GⅠに向けてしっかり負荷をかけたかった。申し分のない仕上がりだと思います」
序盤はゆったりとした脚取りでリズム良く進み、徐々にギアを上げていく。ゴール前は一杯に追われると、ラスト1ハロン12秒5(4ハロン51秒0)でまとめた。「ゴール前で少し気を抜くところがあるのでムチで叱咤(しった)しました」。しまいは少し時計がかかったが、闘魂を注入されて態勢は万全。調教評価は最高の『S』だ。
春先はサウジC、ドバイワールドC(ともに5着)と中東を転戦。昨春のUAEダービー(優勝)、ケンタッキーダービー(13着)に続いて慣れない異国の地での経験を糧に、夏を越して心身ともにひと皮むけた。トレーナーは「精神的にどっしりとしてきました。きゃしゃだった体にも筋肉が付いてしっかりしてきた」と目を細める。
後肢がしっかりしてきたことで、昨春から改善に取り組んできたフォームが固まってきた。調整役を務める松田助手は「跳びを高くして、より少しでも完歩を伸ばすイメージです。ばねをある程度縮めてから、ストライドを伸ばすという動かし方を教えてきました。真っすぐぶれのないフォームになってきたと思います」とうなずく。さらに「スピード、スタミナは十分持っている。去年と比べてもしっかりカイバを食べて、トレーニングもして実になってきています」と充実ぶりを証言する。
3歳で年長勢に挑んだ昨年は2着惜敗。クビ差で屈したジュンライトボルトが9月に引退し、空位になった王座に懸ける思いは最も強い。
新谷調教師は「1年前に悔しい思いをしたので、全力で向かっていきたい。ウイナーズサークルにオーナーや厩舎スタッフが来たときには、盛大な拍手で迎えてください」と呼びかけた。
前走のコリアCで10馬身差をつけて約1年半ぶりの勝利を飾り、惜敗続きに終止符を打って地力強化をアピール。充実期を迎えた4歳のクラウンプライドが念願の王冠を勝ち取り、ダート界の新時代幕開けを告げる。(長田良三)
★昨年はクビ差2着
今年は2月にフェブラリーSを制したレモンポップなど、7頭のGⅠ、JpnⅠウイナーが出走予定。クラウンプライドの重賞2勝はともに海外で挙げたもので国内では無冠だが、昨年の当レースはクビ差2着、今年のJpnⅠ帝王賞ではハナ差2着と着実にタイトル獲得に迫っている。GⅠ初挑戦制覇を果たした昨年のジュンライトボルトに続き、新砂王の座を狙う。
★川田将雅騎手トーク
──前走のコリアC1着を振り返って
「とても状態良く、競馬を迎えることができました。前向きに走っていく馬なので、道中のコントロールはなかなか難しいところではありましたけど、よく走ってくれたなと思います」
──クラウンプライドの良さは
「調教でも競馬でも、とても前向きに一生懸命走ろうとしてくれます」
──中京ダート1800メートルの印象は
「坂を2回上りますし、京都の1800メートルとかに比べれば、だいぶタフな条件ではあると思います」
──意気込みを
「ここまで順調にきているということで、当日も精いっぱい走ってくれると思います。本当に一生懸命頑張る馬なので、競馬でともに頑張れたらなという思いです」