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今週24日の高松宮記念から、いよいよ春のGⅠシリーズがスタートする。阪神カップ、阪急杯と重賞連勝中のウインマーベル(牡5歳)で挑む深山雅史調教師(47)=美浦=を直撃。充実一途の背景や、出遅れ癖を克服した工夫に迫った。レスリング部出身の異色トレーナーが、GⅠ初制覇にタックル!(取材構成・綿越亮介)
--前走の阪急杯は最内枠からうまく立ち回って差し切り
「課題のスタートをこなしてくれて、いい位置で競馬できましたね。苦手な重馬場でもしっかり勝ち切ってくれましたし、いい内容の競馬でした」
--阪神Cから重賞連勝。軌道に乗ってきたきっかけは
「以前から頭の高い走りが気になっていたので、阪神Cの2週前から担当の助手を替えて、乗馬的な乗り方やハミ受けを意識して乗ってもらうようにしました。おかげで、前よりも浮ついたところがなくなって、ハミを下に取っていくような走りに変わったのかなと。また、昨年の秋から前向きさが出てきていると感じていたので、乗馬的な乗り方とうまくマッチして走りの形が良くなってきたのかなと思います」
--課題のスタートもここ2戦は決まっている
「これまではゲート内でジッとしていられないところがあったのですが、阪神Cの前から駐立の姿勢を助手が意識してやってくれて、両脚でどっしり立たせられるような練習をしています」
--混戦のスプリント路線にあって充実ぶりが目立つ
「力が抜けているわけではないので、いろいろな条件がかみ合ってくれれば、結果がついてくる力はあると思っています」
--この馬の長所は
「勝負根性がありますね。いつもしぶとい競馬で差してくれています」
--13日は美浦Wコース5ハロン67秒3-11秒5で僚馬に1馬身半先着
「コーナーに入って促しただけでハミを取ったし、抜け出してからも集中力がありました。1週前としては悪くない動きだったと思います」
--距離は4戦ぶりの1200メートル
「久しぶりのスプリント戦なので、いつも以上にスタートをしっかり決めてほしいですね。しっかりとゲート練習もやる予定です」
--理想の展開や枠順、馬場は
「ある程度前めの方がいいとは思いますね。内枠からポジションを取って立ち回りのうまさを生かす形が理想です。良馬場の方がいいのは間違いないので、より力を出せる馬場でやらせてあげたいです」
--人馬ともGⅠ初制覇への意気込みを
「ここまでいい流れできていますし、GⅠでこんなチャンスはなかなかないので、いい結果を出せるようにしたいです」
★受け身は完璧、異色の経歴の持ち主
深山調教師は立教大学の理学部卒、しかもレスリング部出身という異色の経歴の持ち主だ。「高校までは野球をやっていたのですが、格闘技に興味があったのもあって大学からレスリングを始めました」と振り返る。
部活動を通して競馬との接点を持ち、「初めは先輩や後輩と一緒に予想することが楽しかったのですが、そうしているうちにもっと近くで馬を見たいという思いが出てきて、競馬の世界を志しました」。レスリングの経験は思わぬ形で生きており、「練習は本当にきつかったですが、おかげで体力は人並み以上。あと、受け身を習っていたので、落馬をしても今まで大きなけがはしたことないですね」と笑った。
■深山 雅史(ふかやま・まさし)1977(昭和52)年2月8日生まれ、47歳。東京都出身。大学卒業後、オーストラリアへの留学や牧場勤務を経験し、2004年にJRA競馬学校厩務員課程に入学。翌年に美浦・伊藤正徳厩舎で厩務員となり、同厩舎での調教厩務員、調教助手を経て、19年に調教師免許を取得、開業した。JRA通算1189戦55勝(18日現在)。重賞は3勝。