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あの衝撃を再び―。今春、大外一気の強烈な末脚でライバルたちをまとめて差し切り、皐月賞馬に輝いたソールオリエンスが、王座奪取へ態勢を整えた。
新コンビの川田騎手を背に、美浦Wコースでの追い切り。スタートからゆったりと運び、ラスト2ハロンで一気にペースアップした。馬なりながらラスト1ハロンは11秒2(5ハロン69秒2)と抜群の加速力。「先週、しっかりやっているので、オーバーワークにならないこと。まずはそれが一番で、あとはどういう馬かというのを確かめるというところでしたが、無事に終われて、それが一番だと思います」と川田騎手は追い切りの意図を説明した。
3冠レースでライバルに騎乗していた鞍上は「想像していた通り、いい意味でまだまだ幼く、これから来年、もっと良くなるだろうなという背中をしていました」とジャッジ。大器が真に完成するのはまだ先のようだが、強力な年長馬たちと戦うため、1週前の13日に同じく有馬に挑むウインマリリンと併せてWコース8ハロン111秒3―11秒2とハードな攻め馬を敢行した。
「今までの調教よりワンランクアップしたイメージで、長めの距離でしっかり負荷をかけました。よく強い調教に耐えたなと、この子の持つポテンシャルの高さに感心しています」
手塚調教師は確かな手応えに、納得の表情を浮かべ、「今年最後の大一番なので、しっかりおつりのない仕上がりで送り出そうと思っています」と究極の仕上げを宣言した。
前走の菊花賞は1番人気に推されながら3着。直線でいつもの伸びがなく、3000メートルという距離の壁を感じさせた一戦だった。皐月賞を勝った中山に戻り、500メートルの距離短縮となれば自然と期待も高まる。
「実際に3戦2勝で相性はいいですし、トリッキーなコースでも器用に立ち回っているので、中山がマイナスになるとは思っていません。ソールオリエンスが皆さんの夢をかなえられるような、そういったつもりで仕上げてきました。応援していただければ、いい夢が見られると思います」
トレーナーは穏やかな笑顔で締めくくった。「朝日」という意味を持つ馬名の通り、ソールオリエンスが一年の締めくくりを明るく照らし出す。(三浦凪沙)
■川田将雅騎手TALK
――以前はライバルだったこの馬の印象
「皐月賞で衝撃的な勝ち方をしましたし、その前も素晴らしい勝ち方をしていたので、本当に走る馬なんだなということを皐月賞で確信しました」
――メンバー構成
「有馬記念ですから、素晴らしい馬たちの集まりだと思っています」
――中山の2500メートルという舞台
「実際に中山の皐月賞を勝っている馬ではありますが、距離は500メートル延びますし、コース形態も少しややこしい形になりますので、その辺をうまく対応できればなというところです」
――有馬記念の空気は独特
「本当にお祭り感が強いレースだと思いますので、天気よく迎えてくれればと思います」