マイルＣＳは前４年で３度、外国人ジョッキーがワンツーを決めている。今年も５人の“カタカナジョッキー”が参戦するが、注目は今週から短期免許で来日するライアン・ムーア騎手（３６）＝英国＝と、ウィリアム・ビュイック騎手（３１）＝ノルウェー出身、英国拠点＝の２人だ。ともにマイルＣＳ２度目のＶを狙って、アルアイン、プリモシーンで挑む。

　来日早々のＧＩ奪取へ名手ムーアが本気モードで臨む。これまでＪＲＡ・ＧＩ７勝を数える頼れる勝負師が真っ先にターゲットに捉えるのは、２０１５年モーリス以来、４年ぶりとなるマイルＣＳ制覇だ。

　パートナーのアルアインは２歳時の新馬戦（１着）以来のコンビ復活。その後、ＧＩ２勝馬へと出世した懐かしの相棒へ「デビュー戦で乗せてもらったし、それ以外も過去のレースは全部見ている」とパートナーシップを強調する。「前走（天皇賞・秋＝１４着）は外枠（（１６）番枠）で外々を回らされたのが厳しかった。このレースでは去年、３着に来ているし、もっとやれる馬だと思う」と手応えを隠さない。

　馬を動かすことにかけては世界一ともいわれる剛腕。アルアインの池江調教師も「デビュー戦ではオーダー通りに馬を必死で動かしてくれ、それでスイッチが入るようになった。彼らクラスが一度騎乗すると馬が覚醒する。近走は芯から走り切っていないので、全能力を発揮させてほしい」とムーア・マジックに大きな期待を寄せる。今年も欧州ＧＩを勝ちまくり、主要シーズンを終えた後の９日にも豪ＧＩマッキノンＳをマジックワンドでＶ。世界を股にかけてクールに仕事をこなす腕達者が、外国人騎手包囲網の中心にそびえ立つ。　（内海裕介）

ライアン・ムーア（Ｒｙａｎ　Ｍｏｏｒｅ）　１９８３年９月１８日生まれ、３６歳。英国出身。２０００年デビューで、０６年に２３歳で初の英リーディングを獲得。１０年にはワークフォースで英ダービー、凱旋門賞を制覇。日本でもスノーフェアリーでのエリザベス女王杯連覇（１０＆１１年）や、モーリスでのマイルＣＳ（１５年）、天皇賞・秋（１６年）などＧＩを７勝している。ＪＲＡ通算６１２戦１２３勝で重賞は１４勝。



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