競馬ニュース > 記事
【シャンティー(フランス)30日=黒田栄一郎】凱旋門賞(ロンシャン、GI、芝2400メートル)まであと2日。前日に追い切りを終えたヴィクトワールピサ(栗・角居、牡3)、ナカヤマフェスタ(美・二ノ宮、牡4)とも好気配だ。現地メディアでは低評価の日本代表2騎が、厚い壁を打破して頂点を目指す。待ってろ世界!
エルコンドルパサー(99年凱旋門賞2着)やディープインパクト(06年同3位入線失格)の時はもちろん、2週間前の前哨戦の時でさえ、現地メディアは日本馬の挑戦を大きく取り上げていた。今回は手のひらを返したような静観ぶり。競馬専門紙「パリ・テュルフ」も前走時は中間に2度の特集記事を組んだが、今回は出馬表に名前を掲載しただけだ。
「今年の凱旋門賞は混戦だが、中心になるのはオブライエン厩舎のフェイムアンドグローリーとケープブランコ、そしてニエル賞を制したベーカバドだろう」
同紙のフランシス・フォグレ記者の評価も、前評判通りと言える。
ナカヤマフェスタの二ノ宮調教師が「エルコンドルパサーの時とは違って、今回は全然(現地プレスが)来ないね」と苦笑いしながら言えば、ヴィクトワールピサの武豊騎手も「ディープやホワイトマズル、サガミックスとか人気馬に乗せてもらったけど、今年は人気がないね」とリラックスムード。もちろん、両陣営とも手応えは十分だ。
30日現在、英大手ブックメーカーでは地元のベーカバドが4倍で1番人気。ナカヤマは26倍、ヴィクトワールは41倍だ。凱旋門賞はフランス勢が圧倒的に強いが、2頭はこの低評価を覆して、日本馬の意地を見せつけるつもりだ。
前日に追い切られた日本馬2頭は、いずれも厩舎内で軽めのメニュー。ナカヤマフェスタはウオーキングマシンでの運動と引き運動。「追う前は少し余裕がありましたが、けさは締まって見えますね。カイバをモリモリ食べていて、元気いっぱいです」と二ノ宮調教師は笑みを浮かべる。ヴィクトワールピサは、追い切り後に整体師のマッサージを受け、この日は30分ほどの引き運動。「追った後に体に張りが出て、毛ヅヤも良くなっています。こちらに来てから、どんどん落ち着きが出ていますね」と、角居調教師は精神面の著しい成長に目を細めていた。