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秋のGI開幕戦となるスプリンターズS(10月2日、中山、GI、芝1200メートル)の追い切りが28日に行われ、3月の高松宮記念を制したビッグアーサー(栗東・藤岡健一厩舎、牡5歳)が滋賀・栗東トレセンで抜群の動きを見せた。重い馬場をものともしない力強い走りで、サンケイスポーツ調教評価で最高ランクの『S』を獲得。前哨戦を使って状態は上がっており、スプリントGI春秋連覇へ視界良好だ。
春秋スプリントGI制覇へ、態勢は整った。ビッグアーサーが坂路で弾んだ。手綱から伝わる好感触に、調整役の仲田助手は白い歯を見せた。
「雨が降ったし、この(遅い)時間帯で相当に馬場が重かった。その中でも、しまい重点で動きは問題なかったし、デキはいいですよ。調教とレースでは、うなるような走りを見せますね」
閉門直前の午前9時45分に登場。ゆったりしたスタートから徐々に加速していく。3ハロン目に11秒8とトップスピードに。そこから追われると、馬場が荒れた急勾配を力強く駆け上がった。ラスト1ハロン12秒8の数字以上に迫力満点の動き。重い馬場で4ハロン52秒5の時計も上々で、サンケイスポーツ調教評価も最上級の『S』だ。
見届けた藤岡調教師は「しっかりと負荷をかけることができたのはよかった」と満足そうだ。「休み明けのセントウルSのときは少し脂肪が残っていたけど、使って(体が)スッキリしてきた。先週時点で肩回りの筋肉に張りが出て、この1本でさらに後肢に張りが出てくるだろう。非常に良かった高松宮記念のときと比べても、遜色ない体つきだと思う」と頬を緩めた。
高松宮記念V以来、5カ月半ぶりだったセントウルSは、初めて逃げる形になったが、きっちり勝った。2013年には当時、GI4勝馬のロードカナロアが2着に敗れたように、秋初戦としては難しいレースだったがあっさりとクリアした。福永騎手も「休み明けの馬が勝っていないというデータがある中で、58キロを背負って勝ち切ったのは価値がある」と本番への手応えを得た。
中山コースは初めてになるがトレーナーは、「右回りが駄目ではないし、坂のある中京、阪神も克服している。心配はしていない」と自信満々。勝てば1993、94年とスプリンターズSを連覇した父サクラバクシンオーの領域に近づく。
「血統的にも短距離の申し子ですからね。春の王者としてこの馬の価値を高められるように仕上げてきたし、貫禄を見せられるよう頑張りたい」と藤岡調教師。史上5頭目の同年春秋スプリントGI制覇へ。ここで新たな歴史を作る。(渡部陽之助)
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スプリンターズS 1967年に創設され、90年にGIに昇格。94年に国際競走となり、これまで外国馬2頭が優勝している。春の高松宮記念とともに、ベストスプリンターを決定する最高峰と位置づけられている。