競馬ニュース > 記事
サマースプリントシリーズ第3戦アイビスサマーダッシュ(28日、新潟、GIII、芝1000メートル)の追い切りが24日、函館競馬場と東西のトレセンで行われた。昨年の覇者パドトロワは、函館のダートコース単走で軽快な走りを披露。輸送を考慮したソフトな仕上げで、連覇に向けて態勢は整った。栗東ではハクサンムーンが坂路で力強く駆け、美浦ではフォーエバーマークが機敏な動きを見せた。
派手なパフォーマンスは必要ない。涼やかな海風を受けたパドトロワが、連覇に向けて軽やかに駆け抜けた。手綱を取った勝浦騎手は、確かな手応えに声を弾ませた。
「状態は前走よりもいい感じがする。心配するところはひとつもない。自信を持っていける」
ダートコースでの単走追いは、手綱をがっちりと抑えた状態でスタート。徐々にスピードに乗ると、最後まで鞍上の手は動かないままだった。馬なりでラスト1ハロン14秒2(6ハロン86秒0)。全体の時計を見れば、物足りなさを感じるが、予定通りのソフト調整だ。
25日にフェリーと陸路で半日かけて函館から新潟へ輸送されるため、21日に併せ馬で実質上の追い切りを済ませている。同じ日程の昨年も当週の追い切りは馬なりの軽めの調整で、いわば“パドトロワ式”のVパターン。動きを見届けた鮫島調教師は「トモがパンとして腹が締まってきている。状態はすごくいいね」とうなずいた。
今回は59キロの克服が大きなポイントになる。前走の函館スプリントSを58キロで快勝。アタマ差の着差以上に強い競馬だった。59キロは酷量に違いないが、GI2着1回(11年スプリンターズS)でGIII3勝の実績は、このメンバーでは抜けている。師は「普通なら59キロは避けるけど、サマーシリーズ連覇もかかっているから」と力を込めた。勝算あっての参戦だ。
「ゲートが速くて直線競馬なので、この馬の力を出し切って押し切りたい。楽しみしかない」
最後まで強気の姿勢を崩さなかった勝浦騎手に導かれ、パドトロワがここでも主役を譲らない。 (川端亮平)