２歳牡馬王者の決定戦、朝日杯フューチュリティＳ（１９日、中山、ＧＩ、芝１６００メートル）の出走馬が１６日、確定した。注目のディープインパクト産駒リアルインパクト（美浦・堀宣行厩舎、牡２）は、同日朝、茨城県・美浦トレーニングセンターでアイルランドの名手、フランシス・ベリー騎手（２９）が騎乗し、坂路４ハロン（８００メートル）５２秒６をマーク。余裕たっぷりの手応えでパートナーに先着し、堂々の調教「Ｓ」評価を獲得した。ディープ産駒のＧＩ初制覇へ向けて、態勢は万全だ。

出走予定馬へ

　気温４度。美浦トレセンに、ときおり、みぞれになる冷たい雨が降る中、リアルインパクトが寒さを吹き飛ばす迫力の動きを見せた。

　坂路２本目はベリー騎手を背に、僚馬グァンタナメラ（牝３、５００万下）を２馬身ほど追走する形でスタート。最初の１ハロン（２００メートル）は１４秒９とゆっくり入ったが、２ハロン目からは１３秒１、１２秒２と楽な手応えのままペースアップしていく。中盤で内からパートナーに並びかけると、集中力に満ちた走りで真一文字に駆け上がり、ゴール前でクビほど前に出た。着差こそわずかだったが、手応えと脚いろは明らかに勝っており、４ハロン５２秒６－３７秒７－１２秒４のタイムも優秀だ。

　「ベリーグッド！！」。拳から伝わってくる感触のよさに、ベリーの笑顔が弾ける。「最後は（ＧＯサインを出してから）スッと反応してくれた。リラックスした感じで、無理のないフィニッシュ。本番がすごく楽しみだね」。アイルランドの名手は初めて騎乗する日本のＧＩに、期待を大きく膨らませた。

　ＧＩ７勝を挙げた父ディープインパクトは、現２歳世代が初年度産駒。現在の成績は３８勝、総獲得賞金４億６３８万円で、２位のアグネスタキオン（２１勝、同２億９５１９万３０００円）に大差をつけて、全国（中央と地方を含む）２歳リーディングサイアーを独走している。そして、延べ９頭の子供たちが重賞レースに挑み、リアルインパクトの京王杯２歳Ｓ２着が最高着順。リアルがディープ産駒のＧＩ初制覇に最も近い位置にいることは間違いない。

　「動きはよかったし、いい意味で落ち着きがあって、雰囲気もいい。折り合い面の心配はなさそうだし、１ハロンの距離延長も問題ないと思っています」と堀宣行厩舎の橋本篤典（あつのり）調教助手も、自信を持ってＧＩの舞台へ送り出す。

　来春のクラシック戦線でも主役を務めることができる可能性を秘めるリアルインパクト。ここでＧＩのタイトルを手にして、父ディープインパクトに少し早いクリスマスプレゼントを贈ってみせる。（片岡良典）

　

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