皐月賞トライアル・スプリングＳの追い切りが１３日、東西トレセンで行われた。美浦では２戦２勝の素質馬シックスペンスが坂路をパワフルに駆け上がり、楽々と僚馬に先着。サンスポ調教評価は最高の『Ｓ』となった。国枝栄調教師（６８）＝美浦＝の悲願ともいえる牡馬でのクラシック制覇につなげるべく、まずはトライアルに万全の仕上がりで挑む。

秘めた素質がきらりと光った。デビュー２連勝のシックスペンスがエネルギッシュに登坂。見届けた国枝調教師は開口一番、「完璧だったね」と思わず頰を緩めた。

前日の雨が残り、重のコンディションだった美浦坂路。だが、タフな環境下でも切れ味がそがれることはなかった。道中はリズム良くエリカリーシャン（３歳１勝）と並走。ラストの直線で促されると目覚ましい反応を見せた。馬場の中央に切れ込みながら一段、また一段とギアを上げ、ラスト１ハロンは１２秒３（４ハロン５２秒７）。気付けば僚馬は１馬身後方に取り残されていた。調教評価は文句なしの『Ｓ』だ。

トレーナーは「２頭併せで追いかけて、しまいは脚を使ってという感じでした。時計もいい感じですし、全く問題ないんじゃないかなと思います。順調にきています」とパーフェクトな仕上がりを強調する。


ここまでの２勝はともに中山のマイル戦。楽々と好位からレースを運べるレースセンスと、ラストの伸び脚は高い資質を感じさせる。今回は初の９ハロン戦が最大のポイントだ。過去２０年で１８００メートル以上の距離経験がない馬の白星は皆無だが、トレーナーは「馬体は短距離という感じではないし、落ち着いて走れる馬だからね。距離は延びても大丈夫です」と自信の弁だ。

１３日現在ＪＲＡ通算１０６９勝、ＧⅠ２１勝の伯楽も、まだ牡馬でのクラシックには縁がない。皐月賞も７頭が挑戦して４着（２０１３年カミノタサハラ）が最高だ。シックスペンスも悲願を意識する逸材。指揮官は「まずは重賞を勝たないと。次戦も含めてその後はそれから」と今回がマイル路線かクラシック路線かを見極める試金石としつつも、「バランスがいいし、メンタルもしっかりしている。身が入ってくれば大きいところもいけるのではと思っています」と輝かしい未来をイメージしている。

２６年春の定年まで２年を切った厩舎の夢をかなえるべく、シックスペンスがまずはトライアルで期待に応える。（山口遥暉）

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