今週は春のマイル王を決める安田記念が行われる。ＧＩ・朝日杯ＦＳを含むマイル重賞３勝のダノンプレミアム（牡５歳）を管理する中内田充正調教師（４１）＝栗東＝にインタビュー。史上最多の芝ＧＩ８勝目を狙うアーモンドアイが注目されるなか、「競馬に絶対はない」と３度目の対決での女王撃破へ、ここに全力投球の決意を語った。　（取材構成・宇恵英志）

　－－史上最多の芝ＧＩ８勝目を狙うアーモンドアイを含め、確定すれば安田記念史上最多となる１０頭のＧＩホースが集う

　「アーモンドアイはすでに歴史上の馬。３度目の対戦ですが、同じ舞台で走れることは貴重な経験です。ただし、競馬は“生き物”。そのときの流れなど、いろいろな要素があります。今年は他にも強い馬が多い。アーモンドアイは強敵ですが、競馬に絶対はない。プレミアムは、潜在能力にまだ結果が伴っていませんし、結果を出さないといけない使命感があります。ベストパフォーマンスを引き出せるように最善を尽くして調整します」

　－－前走のクイーンエリザベスＳを振り返って

　「３着でしたが、悲観はしていません。馬場が悪く、５９キロの斤量を背負い、向正面でぶつけられる不利もあったんです。初の海外遠征だったことも考えれば、上等のパフォーマンス。馬場のために最後の１ハロンで末脚が鈍りましたが、４コーナーを回ってくるときの雰囲気は良かったですから」

　－－オーストラリア遠征後の帰国初戦。様子は

　「牧場（放牧先の滋賀・信楽牧場）が、しっかりとケアしてくれて、遠征の疲れは取れています。いい雰囲気ですよ。今回の遠征は人馬ともに苦しかったと思います。日本馬は１頭。違う環境での調整と、制限された状況でも走ってくれましたし、スタッフもしっかりと仕事をしてくれました。今回の経験が今後につながってくれればと願っています」

　－－１週前調教（５月２８日）は栗東ＣＷコースの単走で、一杯に追って６ハロン８１秒３－１１秒６

　「そこそこの強い負荷をかけたいと考えていました。内容を重視していましたが、動き、道中の感じ、最後の反応とすべてが良かったです。予定通りにきています」

　－－今回はレーン騎手と初めてコンビを組む

　「確かな技術を持ったジョッキーです。プレミアムのいい面を引き出してくれたらと思っています。お互いの意見をすり合わせて、レースの作戦を考えます」

　－－東京の芝１６００メートルの舞台については

　「２歳の段階でレコード勝ち（サウジアラビアロイヤルＣ）していますし、不安はありません。スタート後の不利で体をひねった昨年の結果（安田記念１６着）は度外視してください。適性はありますよ」

　－－最後に抱負を

　「古馬らしく体に厚みが出ていますし、昨年の秋から落ち着きも出ています。今が充実期といえます。今春はこのレースが最後。全力投球です」



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■中内田　充正（なかうちだ・みつまさ）　１９７８（昭和５３）年１２月１８日生まれ、４１歳。滋賀県出身。実家は信楽牧場を経営。アイルランドの高校に入学し、英国の大学で馬学を学んだ後、米国でＲ・フランケル調教師に師事。エンパイアメーカー（米ＧＩ３勝）の調教にも関わった。２００７年４月に栗東・橋田厩舎で厩務員となり、１２年に調教師免許を取得。１４年３月に開業。１７、１９年にＪＲＡ賞最高勝率調教師、１９年にＪＲＡ賞優秀技術調教師を受賞。ＪＲＡ通算２１２勝。うち重賞はＧＩ２勝を含む１８勝（２日現在）。

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