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デビュー5連勝で交流GI全日本2歳優駿を制した3歳牝馬ラブミーチャンが12日、地元の笠松競馬場で行われた“壮行レース”のゴールドジュニア(10頭立て、OP、ダ1600メートル)に出走。余裕の逃げ切りで単勝100円の断然人気に応えて6連勝を飾った。今後は桜花賞を目指し、フィリーズレビュー3着以内で出走権獲得を狙う。“女オグリ”が中央制圧に乗り出す!
地元での壮行レースで、ラブミーチャンが改めて強さを誇示した。わずか201メートルの短い直線で濱口楠彦騎手が5度も振り返る。必死で追いすがる9頭が気の毒なほどだ。ほとんど馬なりで逃げ切り、2馬身という着差以上の圧勝だ。
「楽に行かせてもらえて楽な流れだったし、ゴールまで楽でした。今後を考えて、負荷をかけないようにしました」。完勝にも涼しい顔の“濱ちゃん”は、笠松出身で中央で活躍中の安藤勝己騎手と中学時代の同級生。誕生日(1960年3月28日)も同じ49歳のベテランだ。
昨年、交流GI全日本2歳優駿を快勝し、2歳馬としては地方、中央を通じて史上初の年度代表馬に輝いたラブミーチャン。今季初戦を快勝し、今後はフィリーズレビュー(3月14日、阪神、GII、芝1400メートル)で3着以内に入って出走権を獲得し、桜花賞(4月11日、阪神、GI、芝1600メートル)の青写真。笠松から中央に殴り込んだ馬と言えばオグリキャップが有名。オグリもゴールドジュニアを制して中央に挑戦した。ただ、クラシック登録しておらず、当時の規則で挑戦できなかった。今は地方所属のままでもOK。“女オグリ”として中央制圧に乗り出す。
「今回は勝たないとダメだと思っていましたから、ホッとしています。でも、まだ弱点もありますから、今は次のことを考えて悩んでいます」
柳江仁調教師は気性面の課題を認めつつも、単勝100円という断然人気に応えた愛馬にホッとひと息。存廃問題にあえいだ笠松で、存続への旗振り役も務めているトレーナーは次を見据えている。主戦の濱口も思いは同じだ。
「次は中央(の重賞)で簡単ではないと思いますが、この馬の良さを引き出したい。低い跳びをする身のこなしからも芝は問題ないと思うし、順調にさえ行ってくれれば…」
95年、同じ笠松所属の牝馬ライデンリーダーは、安藤勝騎手とのコンビで無敗10連勝を決めると、4歳牝馬特別(現フィリーズR)に挑戦。初芝を克服して優勝し、桜花賞は1番人気に支持された(結果は4着)。あれから15年、ラブミーチャンが先輩の雪辱を果たし、日本の競馬史に新たな1ページを刻むことができるか。