競馬ニュース > 記事
第61回中山金杯(5日、中山11R、GIII、4歳上オープン国際、ハンデ、芝・内2000メートル、1着賞金4000万円=出走16頭)蛯名正義騎乗の2番人気フェデラリストが、直線でダイワファルコンとの叩き合いを制して重賞初挑戦で制覇した。タイムは1分59秒4(良)。骨折の関係で公営・船橋で初勝利を挙げた5歳馬は、まだ底を見せておらず、今年のGI戦線でも目が離せない存在となりそうだ。
ゴール前、熱い熱い叩き合いで2012年の幕開けだ。重賞初挑戦だった2番人気のフェデラリストが、ダイワファルコンとの熱戦をクビ差で制して、今年最初の重賞を勝ち初めした。
「年明け最初の重賞だし、毎年、勝ちたいと思っていたけど、なかなかね。本当に勝ててうれしいですよ」
デビュー26年目。3月で43歳になる蛯名正義騎手にとって94勝目の重賞勝ちは、意外にも初勝利の“金杯”。さい先いいスタートを切って思わず笑みがこぼれた。
スタートしてすぐに中団。前にダイワファルコンを見る形で進めると、4コーナーで外に並びかける。直線は2頭のマッチレースの様相に。中山名物の急坂を上り切ってグイッとひと伸びして、勝負をつけた。
「相手も強い馬だったし、最後まで勝ったかどうか分からなかった。でも上手に折り合いがついて走っていましたから」
蛯名騎手は3連勝で重賞を手にした馬の成長ぶりに目を細めた。父エンパイアメーカー(米GIベルモントS)、母ダンスパートナー(95年オークス、96年エリザベス女王杯)という超良血。新馬戦4着後に全治6カ月の骨折を負い、昨年2月に公営・船橋に移籍して初勝利を挙げた。しかし、東日本大震災の影響もあり、兵庫県の園田に移籍。2勝目を挙げて中央に戻ってきた。中央に再入厩後はこれで6戦4勝。苦難を乗り越えてたくましくなった。
「前走の東京ウェルカムプレミアムを勝ったとき、ウチの厩舎にも(平地の)オープン馬が出たんだと、涙が出ました。本当に一戦一戦、強くなってくれているけど、もっと強くなると思います」
10年10月の開業から1年2カ月。マジェスティバイオで中山大障害など障害重賞3勝を挙げているが、平地重賞初勝利となった田中剛調教師=写真=が喜びを爆発させた。
「昨年の暮れには中山大障害と中山金杯と、両方使う馬がいて幸せだ、と厩舎で話していたんですが、どちらも勝つなんてね。でも、まだまだこれからです。春のGIに向けて力をためていかないと」
放牧も含めて今後のことはオーナーと相談して決められるが、トレーナーはさらに上の舞台を見据える。遅れてきた超良血フェデラリストが、2012年の競馬をますます盛り上げる存在になりそうだ。 (柴田章利)