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競馬の祭典・日本ダービーの追い切りが24日、茨城県の美浦トレーニングセンターで行われ、史上8頭目の無敗2冠馬を目指す皐月賞馬ソールオリエンス(手塚貴久厩舎、牡)がWコースでラスト1ハロン11秒3の好反応を示した。またがった主戦の横山武史騎手(24)=美浦・鈴木伸尋厩舎=も好感触で、サンスポ調教評価は最高の『S』。万全の仕上がりで夢舞台へと挑む。
東から上りゆく朝日は、さらに輝きを増している。史上8頭目の無敗2冠制覇を狙うソールオリエンスが文句なしの動きを披露。2週連続で追い切りにまたがった横山武騎手は、晴れやかな表情で上昇ムードを口にした。
「ちょっと思ったより(早く前に)出すぎたのですが、すごくいい動きでした。先週はちょっとハミを取りすぎたのかなと思いましたが、(今週は)すごくリラックスして走っていました。具合は1段階上がったなという印象です」
前日の冷たい雨から一転した初夏のまぶしい日差しの下、皐月賞馬は元気良く美浦Wコースに飛び出していった。僚馬の後ろで折り合いをつけて向いた最後の直線。ベストフィーリング(3勝)を馬なりのまま残り1ハロン手前でかわすと、スピード感満点の走りでゴールまで駆け抜けた。6ハロン84秒3―11秒3の好タイムで1馬身先着。1週前(同80秒8―11秒1)に一杯に追ってしっかりと負荷をかけ、当該週に馬なりで余力を残すのは前走時と同じ理想的な調整過程。調教評価は最上級の『S』だ。
戦後最少のキャリア2戦で制した皐月賞は衝撃的な圧勝だった。4コーナーで外に膨れてほぼ最後方で直線を向きながら、次位を0秒9上回る上がり3ハロン35秒5の爆発的な末脚でライバルたちをまとめて差し切った。「道悪や多頭数の内枠で半信半疑のところがあったが、全てクリアしてくれた。展開もはまったけど、強いと思いました」と手塚調教師も脱帽の走りだった。
舞台はトリッキーな中山から広々とした東京へ。「中山は早めに(アクセルを)踏んでいかないといけないし、そうなると遠心力に耐え切れなくなってしまう。東京は直線が長いし、コーナーでゆったりと運べるのが合うと思います。(2400メートルの)距離は何も不安はないです」とジョッキーはコース替わりを歓迎する。
鞍上にとって、競馬の祭典は生涯忘れ得ぬ悔しい思いをした舞台だ。一昨年に同じく無敗の皐月賞馬エフフォーリアで臨み、勝利を目前にしながらゴール寸前で差されてハナ差2着に泣いた。
「2年前と同じで、勝ちたい一心です。ソールオリエンスは本当に素晴らしい馬。声援に応えられるように頑張りたいと思います」
過去は変えられない。しかし、未来は自らの手でつかみ取ることができる。誰よりも強い思いを胸に4度目のダービーに挑む若武者とソールオリエンスが、世代の頂点を極める。(漆山貴禎)
★手塚調教師TALK
――中間の調整過程は
「考えていたよりもダメージがなかったので、山元トレセンに2週間ほど放牧に出しました。そこで息抜きをさせてもらって、とても良い状態で帰ってきました。今までより強い調教をするというより、今の体調をいかに維持するかに重きを置いた方がいいかと思って調整しています」
--最終追い切りは1馬身先着
「併入のイメージだったのですが、最後は少し出ましたね。こちらが考えている通りの時計でしたし、動きも息も良かったです」
――速いタイムでの決着は経験がない
「やってみないと分かりませんが、この子の理想は速い時計の良馬場だと思っています。今週は天気が良さそうですし、不安というよりは良馬場でやれてうれしいです」
――勝てば自身はクラシック完全制覇
「言われるまで分からなかったんですけどね(笑)。私が過去に預かった馬の中でも最高に注目を集めると思います。この先こういうチャンスがそう巡ってくるとも思えないので、何とか…とは思います」
★キャリア3戦でⅤだ
皐月賞を戦後最少のキャリア2戦で制したソールオリエンス。キャリア3戦で日本ダービー制覇を果たせば、2021年シャフリヤールと並び2番目に少ない記録となる(2歳戦が実施されるようになった1946年以降)。最少キャリアVは96年フサイチコンコルドで、新馬戦、すみれSの2戦2勝でダービーに駒を進め、7番人気ながら1番人気ダンスインザダークを破って優勝した。