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日本ダービーで史上8頭目の無敗2冠を目指すソールオリエンス。圧巻の走りで皐月賞を制したキタサンブラック産駒の強さの秘密を関係者が語る短期集中連載『ソールオリエンスに迫る』がスタート。第1回は京成杯からコンビを組む横山武史騎手(24)=美・鈴木伸=が、ソールでしか味わえない感覚や、ダービー制覇への意気込みを語った。
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皐月賞は4コーナー17番手からの豪快な差し切り。スリリングかつセンセーショナルな1冠制覇だったが、そのソールオリエンスの末脚に誰よりも驚いたのがまたがっていた横山武騎手だった。
「4コーナーでは逆手前で外に膨れてしまってバランスもまだまだだったし、正直、前の馬を全部のみこめる感じはなかったです。それがラスト200メートルくらいでもう一段階ギアが上がってびっくりしました。ここからまだ上がるのかと」
重馬場の影響か、スタート後も道中も進みが悪く、最後にはじけるか半信半疑だったが、エンジンがかかってからの加速力は想像を超えていた。
主戦はソールの乗り味が特別すごいわけではないと明かす。「背中ならエフフォーリアやタイトルホルダー、スターズオンアースの方がいいです」と率直な感想を伝えつつも、「ソールには調教では分からない、競馬でしか見せないギアがある。京成杯のときもびっくりしたけど、皐月賞でもう一段階上を見せてきた感じ。僕にとっては初めてのタイプの馬ですね」と相棒を語る。
鞍上にとって、皐月賞馬で日本ダービーに挑戦するのは2度目だ。エフフォーリアで春2冠に挑んだ2年前はわずかハナ差の2着と涙をのんだ。
「あのときのダービーだけはいまだに見ていないし、見たくない。それでも日常生活の中でふと脳裏によみがえります。馬によって差をつけてはいけないですが、やっぱりエフフォーリアは僕の軸を作ってくれた特別な馬なので。あの悔しさは今後もずっと晴れないと思います」
そう重く受け止めるほど、あの日の敗戦は心に深く刻まれた。だが、リオンリオン、キラーアビリティも含め、ダービーに過去3度騎乗した経験はソールオリエンスに生かすことができる。
「京成杯でコンビを組ませていただき、また素晴らしい馬に巡り合いました。勝つチャンスがある馬に乗せてもらっているので頑張りたい。ソールオリエンスに対して最善の騎乗ができればと思っています」
一生に一度の晴れ舞台に挑むソールのために、24歳は全力を尽くす。