１週間の密着取材でヴィクトリアマイルの勝ち馬を探る。大阪サンスポの渡部陽之助記者（３６）は、枠順が決まった金曜日も美浦トレセンで取材した。注目は東京でメンバー最多の３勝を挙げるスイートサルサ。東京コースを熟知した５歳牝馬は、前走の福島牝馬Ｓで成長した姿を披露。ＧＩでも好勝負を見込んでいいのでは…。

　金曜日も前日に引き続き美浦トレセンで取材。午前９時から枠順抽選会が行われたが、枠がどうこうという問題を別にして、美浦で最後に取材しておきたい馬がいた。前哨戦の福島牝馬Ｓを勝ったスイートサルサだ。

　ミナレットが東京で１１戦【１・１・１・８】もしているが、こちらは１０戦【３・１・２・４】と内容も充実。今回のメンバーでは、もっともコースを熟知した馬といっていい。東京マイルの持ち時計１分３２秒１もメンバー最速。この馬を取材せずには、結論は出せない。

　というわけで、南馬場のスタンド２階で菊川調教師を直撃した。「この馬の持ち味を出すにはベストの舞台でしょう。時計もヒケを取らないしね」と好感触。１５日は南Ａコース（ダート）でキャンター。僚馬に先導してもらって走る姿は雄大で、風格が漂う。指揮官は双眼鏡をのぞきながら「雰囲気はいいね」と、つぶやいた。以前は後方一気のレースが多かったが、前走は自分から動いていって先行勢をねじ伏せた。今週から東京はＢコース。追い込み一辺倒では買いづらいけど、あんな競馬ができるなら今回、印を回す必要がある。

　「ゲートが安定しなくて後ろからの競馬が多かったが、年を重ねて精神面が成長。無駄なことをしなくなって、競馬で力を発揮できるようになってきた。騎手に任せるけど、正攻法の競馬になるんじゃないかな」

　トレーナーの言葉で、さらに思いは強くなる。

　枠順は師が自ら抽選して、内めの〔２〕枠（３）番に決まった。「前に行く馬でもないし、特に気にしていないよ。前走で自在性があるところを見せてくれたので、この枠でそれを生かせれば」。枠順も問題ないのなら、これはますます軽視できない。１７日は東京競馬場で到着取材。陣営の感触を再確認したうえで、結論を出す。　（渡部陽之助）

東西現場記者走る　昨年春から始まったＧＩ限定の連載企画。東西サンスポが誇る精鋭記者たちが、トレセンで１週間の密着取材を行い、勝ち馬に迫る。レース当日の日曜付の紙面で結論を出す。

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