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NHKマイルカップ(10日、東京、GI、芝1600メートル)の勝ち馬を探し出す『東西現場記者走る』。担当の東京サンスポの板津雄志(35)記者は栗東トレセンで密着取材を敢行。2日目は2頭出しの西浦厩舎からフミノムーンに注目した。前走のマーガレットSを圧勝後、状態はさらに上向き。前評判の低い伏兵だが、大仕事をやってのける力は持っている。
調教師の多くが北海道の牧場へ2歳馬を見に行っているからか、人がまばらな栗東トレセン。午後9時半ごろに、お目当てのフミノムーンが坂路を駆け上がった。4ハロン70秒7とゆったりとしたキャンターではあったが、落ち着いた脚取りで雰囲気はいい。
前走のマーガレットS(芝1400メートル)は、直線での推進力がすごすぎて他馬のジョッキーが驚いていたとか。あの走りを見せられたらGIでも…と思いたくなる。調教終わりに担当者の北添助手にアタックした。
「スムーズに折り合って流れに乗れたので、力を出せたのでしょう。強い競馬でしたが、勝ってから、さらにパワーアップしていますよ」
“さらに上”があるんですか? 思わず聞き返してしまった。すると、うなずいて「少し腰に甘さがありましたが、徐々に解消してきました。力がついたことで運動でもしっかり歩けるようになっています。普段から触っている人間からすれば、明らかに良くなっています」と言い切る。
それを示すのが、先週29日の追い切りだ。国分優騎手(本番は幸騎手)を背に坂路でテンから予定より速い1ハロン13秒9で入り、自己最速の4ハロン52秒7をマーク。「時計感覚に優れたジョッキーの感覚よりも前に進んでいた。具合がいい証拠」。時計がかかる今の坂路でこの数字は信頼できる。
マイル戦は久しぶりだが、新馬戦(京都芝1600メートル)を1分33秒9の好時計で快勝している。しかも2歳新馬戦で1分33秒台をマークしたのは過去を振り返ってもフミノムーンだけ。心配は無用だろう。
「距離よりペースがどうなるか。真面目すぎる面があって折り合いが鍵になりますから。でも普段はおとなしい馬ですよ」
北添助手の言葉どおり、洗い場では目がトロンとしてリラックスしていた。休むときは休んで走るときは走る。オンとオフの切り替えができるのも、強い馬の要素なのだろうと思った。 (板津雄志)
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東西現場記者走る 昨年春から始まったGI限定の連載企画。東西サンスポが誇る精鋭記者たちが、トレセンで1週間の密着取材を行って勝ち馬に迫り、レース当日の日曜付で結論を出す。