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秋競馬のGI開幕戦スプリンターズS(10月3日、中山)の追い切りが29日、行われた。栗東トレセンでは、ビービーガルダンがCWコースで長めから一杯に追われて最後まで力強く伸び、ラスト1ハロン12秒0。待望のGI初制覇に向けて猛デモだ。昨年のこのレース、今春の高松宮記念ともハナ差2着に泣いたが、名手・安藤勝己騎手とのコンビで今度こそ、テッペンをもらうぜ!
もう負けられない。その気迫が力強いフットワークにみなぎっていた。湿り気を帯びた重いウッドチップを蹴り上げて、目指すのはスプリント界の頂点のみ。昨年のスプリンターズS、そして今年の高松宮記念とハナ差で涙を飲んだビービーガルダンが、悲願のGIタイトル獲りに気合のこもった追い切りを行った。
薄曇りの栗東トレセンに、涼しい秋風が吹き抜ける午前6時過ぎ。ビービーガルダンに鳴海卓調教助手がまたがってCWコースに姿を見せた。ゆったりしたフォームは加速するとともに力強さを増していく。決して軽やかな走りではないが、直線で鳴海助手のムチが入ると、その重厚な走りはさらにパワーアップ。6ハロン83秒4は平凡だが、加速し出した5ハロンの65秒3、さらにラスト3ハロン37秒6-12秒0の時計は、重い馬場状態を考えれば秀逸だった。
「先週が軽めの内容だったので、今週は5ハロンから直線は強めに行きました。悪くないですよ。この年齢(6歳)だから、変わらないのがいいことですけど、いい意味で昨年と同じぐらいの状態にあります」
大一番に向けて満足のデキになったことを鳴海助手は笑顔で明かす。この夏は、1番人気で臨んだ函館スプリントS2着、キーンランドC4着。ひと押しが足りない着順だが、悲観はしていない。函館SSは他馬よりも圧倒的に不利な59キロの斤量。キーンランドCは最内の(1)番枠で包まれ、しかも不得手な瞬発力勝負になってしまった。
「悲観する内容ではなかったと思います。今回は北海道からの長距離輸送と、猛暑を心配したんですが、ちょうど栗東に戻る頃(9月上旬)に涼しくなって、調子が落ちることもなかった」
カイバの食いも落ちずに、順調に調教を積めたことで、馬体は6歳と思えぬほどの張りを見せていて、まさに絶好調を体現している。
「これまで悔しい思いをしてきたし、今度こそ力を出し切って、GIを獲らせてあげたい。一瞬の切れ味は他の馬に負けるけど、雨で馬場がしぶるのはマイナスにはならないし、これまで単勝を買ってくれていたファンの方に申し訳ないですから、何とかして勝たせたいんです」
言葉に力をこめる鳴海助手。これ以上、悔し涙は流したくない。ビービーガルダン一世一代の走りに、態勢は整った。(柴田章利)