データ面で最も強調したいのは、距離短縮組が非常に強いということだ。2014年以降、同距離・距離延長組の2勝を含む3着以内7頭に対し、距離短縮組が8勝を含む3着以内23頭と大きくリードしている。まずは距離短縮組に的を絞るのが、小倉大賞典の正しい攻略法といえよう。また、ハンデを背負った馬が幅をきかせているのも、当レースの特徴のひとつ。56.5キロ以上の負担重量を課された実績馬が、5勝、2着5回、3着4回と1～3着馬の約半数を占めている。少なくとも、重いハンデを理由に評価を下げる必要はまったくない。レースが行われる小倉芝1800mは、スタートしてから最初のコーナーまでの距離が短いうえに、しばらく上りが続くレイアウト。序盤の流れはさほど速くならないため、先行勢に有利な展開になりやすい。（各種データ、原稿は本年のレース発走前のものとなります）

【人気】
2014年以降、1番人気の成績は【3.2.0.5】。2着連対圏確保が5頭、複勝圏外が5頭と両極端な感じだが、前走が中京以西のレースで1着だった馬に限れば【3.1.0.0】の連対率100%を誇る。覚えておきたい傾向だ。なお、6番人気以下で複勝圏入りを果たした13頭のうち、8頭がハンデ56キロ以上の馬となっている。伏兵を狙うのであれば、評価を落とした実績馬に注目してみるのもひとつの手だ。

【脚質】
小倉1800mは3～4コーナーにかけて緩やかな下り坂が配されている。さらに最後の直線は300m弱と短いうえに高低差がないため、そう簡単に前の組は止まらない。事実、過去20年における脚質別成績の数値は、逃げ・先行が圧倒している。2016年や2022年のように差し・追い込み勢が1～3着を独占する年もあるが、長いスパンで見ると、突き抜けまでには至らないケースのほうが圧倒的に多い。人気馬も人気薄も、先行力や機動力に優れた馬を中心に考えるべきだ。

【枠順】
枠順に関しては、内枠が優位の立場にある。2014年以降、毎年のように1～3枠が馬券に絡み、ワンツーフィニッシュも少なくない。絡まない年は4枠が上位入線するなど、内寄り有利の構図ができあがっている。6～8枠の2頭で1～2着を決めた年もあるが、トータルで見ると劣勢を強いられていることは間違いない。外有利の馬場バイアスの出現でもない限り、内めの枠を優先したほうがいいだろう。

【血統】
コース形態から平均的なラップを刻む展開になりやすいため、トニービンやCaro、Seattle Slewといった長くいい脚を使える長所を持つ血脈が狙い目となる。これには16頭中15番人気、ブービー人気ながら2着に激走した2018年クインズミラーグロ（母の父がCaro直系のIn Excess、2代母の父がSeattle Slew直仔のSlewpy）のような大穴も含まれる点に注意したい。また、近年はGalileoやハービンジャーといった欧州の重厚な血脈も評価しやすく、前者の直系には11番人気で勝利をつかんだ2021年テリトーリアル（父Teofilo）、クビ差2着と接戦を演じた2019年タニノフランケル（父Frankel）などが該当。一方、後者は父としても母の父としても存在感を放ち、2023年は1着ヒンドゥタイムズ、3着バジオウと同種牡馬の血を引く2頭がそろって好走していた（小倉芝1800mのコース全般における種牡馬別成績は下記のとおり）。