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下手の横好きとはよく言ったもので上手くないが料理をするのが好きだ。
TVで美味しい店特集を見るとフツーは“行ってみたい”と思うのだろうが私の場合まず思うのは“作ってみたい”。店で美味しいものを食べても“原材料は何?”と考える。ヤッパリ私の頭はどこか変かもしれない(笑)。
実家のゆずの木に大量の実が生った。昨年は全く生らなかったが、どこぞで母が聞いてきた“枝にシジミの殻をぶら下げる”という謎のおまじないを実行したところ、今年は300個以上も生った(笑)。
母が柚子胡椒を作るというので自分もトライ。母は料理に関して几帳面で初めて作る料理は必ず“正しい作り方”を実行する。「ゆず◯◯gに対して唐辛子が△△g……」と説明してくれたがろくに聞かずにゆずと唐辛子を袋に押し込んで持ち帰った。
作り方は極めてシンプルだ。材料は柚子の皮と塩と唐辛子のみ。あれ? 胡椒は? と思ったがどのレシピにも胡椒は出てこない。調べたら柚子胡椒発祥の地、九州では唐辛子を昔“胡椒”と呼んだらしく、柚子胡椒の胡椒は実は唐辛子であることがわかった。
さぁ、実戦。ゆずの青皮をおろし機ですり、種を除いた唐辛子を包丁で刻む。塩は……測るのが面倒でテキトーに入れる。早くも自己流だ(笑)。
唐辛子も母から聞いた量は大量だったが、実際やってみると4分の1も入れないうちに激辛に。母は時間が経てば辛さは収まると言ったが到底残りを入れる気にはなれず追加を中止。代わりに柚子果汁を加えてみた。香りが増し、酸化と色変わりを防げると考えた。
本来これをフードプロセッサでペースト状にするが、刻んだだけの唐辛子とおろしただけの柚子皮の質感が良かったので調理終了。あとは4週間冷蔵庫で寝かせるだけだ。
実家で作業工程を話すと母は呆れ顔で言った。「お前の料理は何でも自己流。不味くはないけど“王道”じゃない。」
さて“変化球”の酷評をもらった私の料理だが、確かに何にでも“王道”はあり、競馬もまた然りだ。今週は王道に関する金言を紹介しよう。
曰く「競馬は王道ローテ馬を狙え」。
今週土曜の東日本メイン競走、武蔵野ステークスの王道ローテは南部杯。たとえば一昨年の優勝馬ソリストサンダーは南部杯3着の後ここを勝ったし2着のエアスピネルも南部杯6着だった。また2020年優勝のサンライズノヴァも南部杯4着の後ここを勝ち、武蔵野ステークスの王道ローテと言えば南部杯だ。
タガノビューティーは南部杯4着。過去このレースは2度敗れているが、ローテに南部杯を選んだのは今回が初めて。ついにチャンスが来た。
仕込んで4週間経ったので、変化球と称された柚子胡椒を焼いた肉に付けて食べてみた。美味い! 美味いが、たしかに変化球で他で食べたことのない味だ(笑)。人生、変化球だけで押し切れぬものだろうか? 変なことをふと考えながら、これまた究極の変化球、ウィスキーの麦茶割を流し込んだその日の晩酌だった。
(文:のら~り)