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今週騎手デビューする6人で、知名度NO・1は菅原隆一騎手だろう。エッ、知らない!? でも、映画「釣りバカ日誌」に出ていた「鯉太郎」と聞けば、“ああ、あの子か”と思い当たるはず。模擬レースでは“鯉太郎ッ!”と声援も飛んだという17歳は、土曜中山8Rでデビュー。新たなスタートにスポットを当てた。
4人の新人騎手が誕生した美浦で注目を集めているのが、保田一隆厩舎所属の菅原隆一騎手だ。
「騎手になった実感が沸いてきました」と、黄色の鞭を抱えながら口元をキュッと引き締める。デビュー戦を6日に控えても緊張の色は見られない。菅原隆一は知らなくても「鯉太郎」と聞いてピンとくる人も多いはず。国民的人気映画の「釣りバカ日誌」で西田敏行が演じる主人公・浜崎伝助の息子の名前で、演じていたのが菅原だ。
俳優から騎手への転身も当然の選択だった。「小さい頃から父を見てきました。影響が大きいですね」。父とは、元ジョッキーで保田厩舎所属の菅原隆明調教助手。騎手としての父の記憶はないが、馬と接する機会が多く、自然とこの世界に目が行ったという。普段は上司と部下として厳しく接している菅原助手も息子のデビューを心待ちにしていた。「自分がレースに出るよりドキドキするね。勝負の世界は厳しいが同時に楽しさもある。息の長い活躍をする騎手になってほしい」と父親としての顔を見せる。
保田一隆調教師にとっては初めての弟子。「優しすぎる面はあるが、騎乗技術はかなりいいものを持っている。人と人とのつながり、信頼を大事にして信頼される騎手になってほしい。そして、武豊や三浦皇成を超える騎手になってほしい」とエールをおくる。
デビュー戦は土曜中山8Rで自厩舎のホクセツポイント。公営・園田競馬で4連勝の後にJRAに再転入してきた馬だ。「すごく乗りやすい。馬体はそれほど大きくはないがパワフル。見かけ以上に力があるんです」と菅原は目を輝かせる。調教にも何度も跨り、手の内に入れている様子だ。
鯉はいずれ滝を登って竜になる。菅原隆一騎手の活躍に期待したい。(松永昌也)
★東西でムチ贈呈式
JRA新人騎手へのムチ贈呈式が4日、東西トレセンで行われ、美浦では4人、栗東では2人のルーキーにムチが贈られた。
◆西村太一騎手(19)「小学生の時にスペシャルウィークにあこがれた。産駒に乗れるかもしれないと思うと不思議な気持ち」(土日とも中京で計4鞍)
◆平野優騎手(20)「1頭の競走馬にどれだけの手が掛かっているのか、牧場研修で体感した。1頭の重みを噛みしめて騎乗したい」(土日とも中京で計3鞍)
◆水口優也騎手(18)「馬に合わせて流れに乗って好位で競馬をしたい。自分の名前が新聞に出ると思うと改めて身が引き締まる思い」(土曜中山、日曜中京で計4鞍)
◆高倉稜騎手(18)「1つでも上の着順を目指して頑張ります。社会人としても誰からも好かれるようになりたい」(土日とも阪神で計11鞍)。
◆川須栄彦騎手(18)「ひと鞍、ひと鞍を大事に積極的な騎乗を心がけたい。新人賞を取りたい」(デビューは来週以降)