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JRA(日本中央競馬会)で16年ぶりに誕生した新人女性ジョッキー、藤田菜七子(18)=美浦・根本康広厩舎=が3日、同期の5人よりひと足早く、川崎競馬で“ひな祭りデビュー”を果たした。63社、137人の報道陣が殺到し、ファンも通常の2倍以上の7214人が訪れて“菜七子フィーバー”が巻き起こる中、6頭に騎乗。初勝利はお預けとなったが、5Rで2着に健闘し、5日の中山競馬場での中央デビューへ期待が高まった。
“菜七子フィーバー”の幕開けだ。川崎競馬場には平日にもかかわらず、午前10時30分の開門前から2カ所の入場門に200人以上の長蛇の列が…。最大のお目当ては藤田菜七子騎手だ。
63社、137人に及ぶ報道陣も注目する中、6頭に騎乗。初勝利はお預けだが、「この日が待ち遠しかったです。勉強になりました。一鞍一鞍乗せていただいた関係者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです」とけなげに語った。
4番人気ミスターナインワンに騎乗した5R(ダ1500メートル)で魅せた。直線で中団の大外からナインワンは鋭く伸び、勝ったスマートグリフィンにアタマ差まで迫る2着。「これは勝っているなと正直、思いました。勝っていればいいな、と」という惜敗で、最終12Rのポッドライジングは直線で一旦先頭に立ち、3着に粘った。
馬券にも貢献した菜七子はファンの注目度が抜群で、この日の入場者数は7214人。同じく重賞がない昼間に行われた前開催の木曜日(1月28日)の3367人の2倍以上で、交流重賞のエンプレス杯が開催された前日2日の入場者数6395人をも上回った。
デビュー前夜もぐっすり眠れたという肝っ玉の持ち主は「賞金で両親にご飯を食べさせてあげたい。差す競馬をして少し自信がつきました。きょうは30点ぐらいですが、100点を目指して頑張りたいです」と前を向く。師匠の根本康広調教師(60)は「菜七子は幸せ。もっと頑張ってくれるんじゃないかな」とエールを送った。
JRAでのデビュー戦騎乗馬は5日の中山競馬2R、自厩舎のネイチャーポイントに決定。JRA競馬学校の小林淳一教官(42)は「デビュー初日を考えれば、思った以上に頑張ってくれた。6鞍乗れたことが、すごくいい経験になると思う」と後押しする。
結果がすべての厳しい世界に飛び込んだ藤田菜七子騎手。JRAデビュー戦で初勝利を目指す。 (片岡良典)
◆川崎競馬場へ応援に駆けつけた藤田菜七子騎手の父・稔さん、母・恵子さん 「周りに迷惑をかけず、初めてのレースを無事に終えてくれてホッとしています。いよいよプロとして、一歩を踏み出したわけですので、頑張って結果を残してほしいです」
★ファンの声
◆千坂彩乃さん(24)=横浜市、大学生 「かわいらしい女性が馬に乗るので、同じ女性として応援しています。菜七子ちゃんの笑顔がかわいい」
◆渡辺佳代子さん(39)=川崎市、主婦 「男性の中に飛び込んで騎手という職業を選択したのはすごいと思います。精神的にも肉体的にも努力されたんでしょうね。応援したくなります」
★9万円越ゲット
3日の藤田菜七子騎手の収入は、進上金(賞金の5%)が3万9800円。騎乗手当にあたる騎乗奨励金(計6鞍)は5万4500円で、合わせて9万4300円となった。
★大王製紙CMに21日から出演!
エリエールなどで知られる大王製紙は3日、藤田菜七子騎手がCM、ウェブショートムービーに出演すると発表した。同社は『elis(エリス)』ブランドのスローガンである「前を向く、女性のそばに。」を体現する女性として抜てき。茨城県の美浦トレーニングセンターで、16年ぶりに誕生したJRA女性新人ジョッキーに密着した。21日からテレビCMとelisのウェブサイトで公開される。
藤田 菜七子(ふじた・ななこ) 1997(平成9)年8月9日生まれ、18歳。茨城県出身。特技は空手(初段)、剣道(二段)。趣味は音楽鑑賞、読書、睡眠。好きな食べ物は肉。座右の銘は『日進月歩』。家族は父・稔さん(55)=会社員、母・恵子さん(45)、弟(16)。身長1メートル57、体重45キロ。血液型A。