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これから躍進が期待される若手騎手にスポットライトを当てる「夏に飛び出せ! 若手ジョッキー」の2回目は、函館で大活躍する佐々木大輔騎手(19)=美・菊川=を取り上げる。1年目は9勝だったが、2年目の今年は早くも33勝。特に函館で14勝してリーディングトップに立つ若武者の勝利への秘訣(ひけつ)に迫った。
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2年目の佐々木騎手が北の大地で乗りに乗っている。函館開催の幕開けと同時に勝ち星を量産。1日には自身初の一日4勝を挙げるなど、2日終了時点で14勝と函館リーディングに立った。東の新星に向けられる視線は日ごとに熱を帯びるが、当の本人はいたって冷静な姿勢を崩さない。
「1つ勝つのが本当に難しいということは新潟開催で痛感しましたし、1週間に1勝できただけでもすごくうれしい。なので、函館リーディングは取れたらいいなという感じです」
今年の1回新潟で最終週に菱田騎手に逆転を許し、1勝差でリーディングを逃した経験から、強気なことは口にしない。この〝慎重さ〟がまさに佐々木騎手の性格を体現している。失敗のリスクを回避するために行ってきたことが最大限の〝準備〟。中学校のテスト前は「深夜1時頃まで勉強して、これでいい点が取れなかったら仕方ないと思うほど」に追い込み、500点満点中480点を獲得。競馬学校の入学試験前も、体力テストに備えて「昼休みに1人でシャトルランをして、汗だくで次の授業に行ったりしていました」と語るほど、準備を徹底してきた。この姿勢は騎手になった今も変わらない。
「休みの日はほとんど競馬のレース映像を見ながら振り返りをして過ごしています。いろいろな馬の情報を頭に入れておいて損はないですから」
1年目は同期の今村騎手が51勝を挙げる一方、9勝に終わり、「嫉妬しましたし、焦りました」と危機感を覚えた。しかし、ストイックな姿勢が実を結び、今年は33勝と大飛躍。全国リーディング15位、関東リーディング5位につけている。函館開催も残り2週。来週には函館2歳Sのクールベイビーで2度目の重賞参戦も予定している。
「重賞は雰囲気も全然違うしすごく楽しみ。でも、まずは今週しっかり勝ちたいです!」
目を輝かせたあとにしっかりと気を引き締めた謙虚な若武者から、今週も目が離せない。(綿越亮介)
■佐々木 大輔(ささき・だいすけ) 2003(平成15)年11月24日生まれ、19歳。茨城県出身。JRA競馬学校38期生として19年に入学。同期には今村聖奈、角田大河らがいる。22年に騎手免許を取得し、同年3月5日の中山2Rでデビュー(14着)。同4月10日の中山8Rで初勝利を挙げた。JRA通算432戦42勝(6日現在)。父は美浦・堀厩舎の佐々木幸二調教助手。美浦・菊川正達厩舎所属。161・6センチ。