今週はサマー２０００シリーズの第２戦・函館記念（１４日、ＧＩＩＩ、芝２０００メートル）が行われる。昨年１番人気ながら４着だったトウカイパラダイスは、念願の重賞初制覇を目指して出陣だ。前走の天皇賞・春８着後に皮膚炎を発症したが、影響はほとんどなく、体調は万全。パワーと器用さを兼ね備える洋芝巧者が、得意の舞台でチャンスをモノにする。

　気温２２度の朝。本州とは１０度以上も違う、涼しい函館競馬場でトウカイパラダイスが調子を上げてきた。陣営は１番人気で４着に敗れた昨年のリベンジに燃えている。

　「暑いところよりも、函館の方が（体調が）いいね。決め手のない馬でもあるし、時計のかかる函館の芝は合うよ」と谷中厩務員が表情を緩めた。０５～０７年の函館記念を３連覇したエリモハリアーを担当した腕利き厩務員。“洋芝巧者”の人馬は、涼しい気候も相まって、勝負気配を漂わせた。

　昨年の函館記念は４着だったが、１、２コーナーで他馬と接触。それでも、直線は脚を伸ばして、勝ち馬にコンマ３秒差に迫った。その前哨戦である巴賞では、内々をうまく立ち回って快勝。パワーと器用さを兼ね備えており、力のいる洋芝で小回りの函館は得意とする舞台だ。

　前走の天皇賞・春８着後は、放牧に出してリフレッシュ。昨年と同様、前哨戦の巴賞に使う予定だったが、帰厩後に皮膚炎を発症したため、大事を取って自重した。「炎症で脚が腫れて、３～４日ほど休ませたけど、腱の方は問題ないからね。できればひと叩きしたかったけど、動けそうな感じにはある」と谷中厩務員は胸を張る。７日は函館のＷコースを５ハロン６９秒３－１２秒７で軽快に駆け抜けており、出走態勢は整っている。

　「以前よりも掛からなくなったし、うまく内を通っていければ」と谷中厩務員。１１度目の重賞挑戦で、念願のタイトルを奪取する。　（鈴木康之）

■洋芝　芝コースに使用される芝生には、洋芝と野芝の２種類あり、函館競馬場と札幌競馬場は、洋芝が１００％使用されている。野芝だけだと馬場が固く、スピードが出やすいが、逆に洋芝はクッションがきくため、パワーが必要とされ、時計もかかるといわれている。

この記事はいかがでしたか？

 (0)