春の最強牝馬決定戦として定着したヴィクトリアマイル。ここは(10)ミッキークイーンや(15)ショウナンパンドラを中心に、も多種多様なメンバーが集まり、何とも魅力的な一戦となった。

それぞれが異なったセールスポイントを持つ人気各馬だが、適性の違いは明らか。たとえばこのヴィクトリアマイルはハイペースがディフォルト。もっと言うと、ＮＨＫマイルカップからヴィクトリアマイル、安田記念と続く「東京芝１６００ｍのＧ１シリーズ」は、いずれもハイペースになりやすく、その中でもヴィクトリアマイルはＮＨＫマイルカップと同等のペースから、さらに速い上がりが要求されるレース。

この時期の３歳馬と古馬牝馬は似たようなレベルだと思われるのだが、そういった意味ではＮＨＫマイルカップよりも高いスペックが要求されるレースなのだと認識している。

そういった意味で、まずこのレースで考えなくてはならないのが、１にも２にも「ペース耐性」。キャリアの少ない２歳馬や３歳馬のレースはペース耐性など考える必要がなく、それらの若駒はアッサリと自己最速を更新したりしてくれるのだが（昔、これに悩まされた(笑)）、キャリアの多い古馬にとってペース耐性の実績はかなり重要。歳を取れば取るほど、環境の急激な変化に対応できなくなってくるのは人間も同じなのではないだろうか。

しかし、だからといって瞬発力不要のレースというわけでは全然ない。コース適性値の「瞬８平２消０」よりも平坦戦決着になりやすいとは言っても平坦適性に優れた馬がヴィクトリアマイルを制したのは過去１０回で１度だけ。前年ストレイトガール「瞬４平６消２」だけなのだ。勝つのはやはり瞬発力に優れた馬で、しかも高いペース耐性を実際に示している馬だと思われる。

そこを起点に考えると、候補は数頭に絞られる。(２)スマートレイアー、(４)ウリウリ、(９)カフェブリリアント、(13)ストレイトガールと(14)ウキヨノカゼ。当然ここには秋華賞勝ち馬である(10)ミッキークイーンと(15)ショウナンパンドラも入ってくるし、あとは２年前までの(８)メイショウマンボぐらいかな。うわ、今年は８頭もいるのか。

しかしこの中から瞬発力に劣る「瞬５平５消０」(４)ウリウリ、「瞬４平４消１」(９)カフェブリリアントと「瞬５平７消２」(13)ストレイトガール、あとなぜか(８)メイショウマンボを除けば、残るは(２)スマートレイアーと(10)ミッキークイーン、(14)ウキヨノカゼ、(15)ショウナンパンドラということに。

この４頭から絞っていきたい。

……と言うか、これは上位人気３頭＋(14)ウキヨノカゼという形なのか。１６番人気想定の(14)ウキヨノカゼか。たしかに２走前は京都牝馬Ｓ１５着で、前走・高松宮記念１３着と、まったく良いところがない。しかしそれでも、(14)ウキヨノカゼにはもうひとつセールスポイントがあったりする。

それは同コース・クイーンカップ（３歳牝馬限定・Ｇ３）の勝ち馬であるという点だ。クイーンカップ勝ち馬は、２００６年コイウタ、２０１１年ホエールキャプチャに２０１２年ヴィルシーナなど、９戦【４-１-０-４】、回収率１０９８％の凄まじい成績を残している。クイーンカップ勝ち馬は（同コース）ヴィクトリアマイルで積極的に狙うべき。

ただそれを考慮しても、さすがに(14)ウキヨノカゼ勝ち負けまでは厳しいかな。と言うか、このヴィクトリアマイル本命は結構前から決めていたりする。(10)ミッキークイーンや(15)ショウナンパンドラ（前年の本命馬）も悪くはないのだが、ここで狙うべきは(２)スマートレイアー。

そもそも、このヴィクトリアマイルが毎年荒れ模様だったのはちゃんと理由があって、それは最もメンバーがそろう前哨戦、Ｇ２・阪神牝馬Ｓが１４００ｍだったから。阪神の芝１４００ｍ（内回り）と芝１６００ｍ（外回り）はまったくの別コースであり、そのラップギアコース適性値は「瞬２平６消２」と「瞬８平２消０」。「瞬２平６消２」で良いところを見せた馬が「瞬８平２消０」の東京芝１６００ｍで人気になるのだから、荒れるのは当然ということだ。

それがどうだ。阪神牝馬Ｓは今年から１６００ｍに距離変更。ラップギアコース適性値は「瞬８平２消０」と「瞬８平２消０」で、東京芝１６００ｍとピタリ一致。これではもう阪神牝馬Ｓの好走馬が、そのままヴィクトリアマイルでも好走する未来しか見えてこない。阪神ジュベナイルフィリーズ勝ち馬が、チューリップ賞と桜花賞に出て来る感じ。何ともつまらない変更ではあるのだが……。

特に今まで瞬発力勝負に徹して後方から競馬を進めてきた(２)スマートレイアー。２走前の東京新聞杯は超が付くほどのスローペースで、逃げの手に出られたのはその影響が大きいと思われたのだが、続く前走の阪神牝馬Ｓでも再度逃げの手に。これにはさすがに驚いた。

実際のところ、その阪神牝馬Ｓもスローの部類で、今回も同じ競馬ができるとは限らないのだが、これは別に逃げなくても良いと考えている。場合によっては最後方、「末脚勝負に徹した競馬」がネックだったのであって、「逃げでしか勝てない馬」というわけでもなく、普通に好位からの競馬が期待できるなら、それで十分なのだから。このレースに対応できる速力があり、末脚だけに賭けるわけでもない、ならば斤量差は２ｋｇ詰まっても、(10)ミッキークイーンとも互角の競馬が期待できるはず。



※印や金額は発走の約１時間前に確定。それまでは変更の可能性があります。
※適性値（ラップギア）や能力値（瞬発指数）について
http://lapgear.net/